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31馬鹿 ◎ちょっとした騒動2 ページ31

「数馬ー!怪我はないかー!」

「怪我はないですけど〜…腕が〜!」

「今助けてやるからもう少しだけ頑張れ!!……左門三之助、長いロープを持ってないか?」

「あ、あります!」


左門が懐から取り出したロープを受け取る。
ロープは全部で二本か。コレを使って数馬を早く救出しなければ。
私は左門と三之助にここを動くなと指示を出した。
そして受け取ったロープを私の腰に巻き付け巻きつけたロープを近くにある大木に巻きつけもう一本の長いロープの端を三之助に渡し絶対に離すなよと念押しする。


「じゃあ数馬を救出しに行ってくるから合図を出したら引っ張り上げてくれよ」

「わ、分かりました!!」

「じゃあ頼んだぞ……左門はこの場で大声で作兵衛たちを呼んでくれ、こ・の・場・でな!!」


大事なことなので念をおして二回言いゆっくりと崖を降りて行く。
この崖はそんなに高さはなさそうだが落ちたらただじゃすまなそうだ。
そんな恐怖に背筋を震わせながら確実に数馬のとこに向かう。


「数馬もう大丈夫だぞ……ちょっと待ってな」


私は片手でなんとか数馬の腰に巻き付け固く結ぶ。そして数馬のロープを軽く引き崖の上にいる左門たちに合図を出す。
すると、数馬の身体がスルスルと持ち上がっていく。


「数馬!頑張れよ〜!」

「友達を引っ張り上げる予習をしておけば良かったー!!」


どうやら左門の声を聞いて作兵衛や藤内たちが駆けつけてくれたようだ。
だから数馬の身体が持ち上がるスピードが速いわけか。
私は数馬の不運が発動しても大丈夫なように数馬がちゃんと崖上に上がるまで見届けた後、自分も三年生と合流しようと足に力を入れた瞬間、上にいる三年生が声を張り上げる。


「Aさん!木が!!」

「は?」


この時から私の目に映る光景はスローモーションになった。
ロープを巻きつけていた大木がゆっくりと倒れていく、よく見ると根っこが見えている。
そう言えばここ最近雨が続いて地盤が緩んでるなんて話を先生方がしていたような。
根っこから折れた木がゆっくりと崖の下に落ちていきその木の重さで私も一緒に崖下に身体を持って行かれそのまま落ちていく。


「う、アァァァァアァァァッ!!!」

「「「「「「Aさーーーん!!!」」」」」」


私の名を叫ぶ三年生の声が遠くなっていき、ついに彼らの声も聞こえなくなった。
自分の後頭部に強い衝撃と痛みを感じた私はそのまま意識を飛ばす。
最後に見た彼らの顔を脳裏に焼き付けながら私は目を閉じた。

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年9月25日 23時

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