30馬鹿 ◎ちょっとした騒動1 ページ30
「Aさん、せっかくの休憩時間にすみません」
「いいよ別に暇してたし……薪はこれくらいでいいか?」
今私は三年生と共に薪を取りに裏山にやって来ている。
なんでも今日の夕飯に使う薪を切らしてしまい食事当番である三年生が薪拾いを頼まれたのだ。
私はその付き添いである。
「はい!じゃあそろそろ忍術学園に帰りましょう!」
「……そう言うが富松作兵衛君、君と同じクラスの神崎左門君と次屋三之助君がいないようだが」
「え?あー!!あいつら〜ここにいろって言っておいたのにーー!!」
「まぁ落ち着け作兵衛……孫兵に藤内に数馬、戻ってきて早々に悪いが左門と三之助を探すぞ〜、私も手伝うからさっさと見つけて帰るとしよう」
私がそう言うと作兵衛が涙ながら私に礼を言って一目散に森の中に入って行った。
残りの三年生も作兵衛と同じように森の中へ左門達を探しに向かう。
皆を見送った後私も森の中に向かう私だった。
「さて…おーい左門〜!三之助〜!早く出といでー!」
「あっちだ―!こっちだー!」
「左門そっちじゃないぞ!」
「……あそこか、左門!三之助!その場を動くんじゃねぇぞ!!」
私は二人の声を頼りに草木をかき分け進んでいく。
ガサガサと進んでいると今まさに探していた左門と三之助の姿があった。
「お前達、作兵衛に言われてただろう?あの場所から動くなって」
「す、すみません…珍しい蝶がいたもので」
「あーそれで大体の見当はつく、大方その蝶を捕まえて孫兵にでもあげようと思っていたんだろう?」
「そうなんです!」
自信満々に言う三之助の頭に手を乗せ分かった分かったと頭をワシワシと撫でてやる。
二人は擽ったそうに笑うのを見て私は二人の手を取りその場を後にした。
「Aさん、僕たち子供じゃないんですから手なんか握らなくてもいいですよ」
「いいから黙って繋がれていろって…これ以上走り回られたらこっちが先に参っちまう」
「誰か〜…助けて〜……!」
二人を連れていると微かに助けを呼ぶ声が聞こえる。
この声は何処かで聞いたことがある。
恐らくあの子の声だろう。
「!?お前達今の声聞こえてたか!」
「はい!今の声は数馬です!行きましょう!」
「分かってる!お前ら手ェ離すなよ!」
左門と三之助をつなぐ手に力を込め声の主の所に向かう。
途中で場所を確認するため声をかけ続けた。
そしてついに数馬の姿を発見する。
発見した数馬は崖に生えている木にしがみ付いていた。
おいおい、ここでも不運発動かよ。
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年9月25日 23時