22馬鹿 ◎団子屋でアルバイト4 ページ22
「Aさん!そんな事されて黙ったままでいいんですか!?」
「な、なにをそんなに怒ることがあるんだ?まぁ後で雑巾のしぼり汁を茶の中に混ぜるから幸福の心配はしなくていいぞ」
「いやそうじゃなくて……」
「別に減るもんじゃねぇし…まぁそれは置いといて、お、中在家が作ることになったんだな へー美味そうに出来てるじゃん」
こねた団子を熱湯にさらした後綺麗に皿に盛り付ける中在家に向かって声をかける。
話を聞くとどうやら平和的にじゃんけんで決めたらしい。
なんだやればちゃんと平和的に出来るんじゃねぇか。
「本当中在家先輩上手っすね〜、じゃあ俺が……」
きり丸が完成した団子を持って行こうと手を伸ばしたが中在家は客の反応が見たいから自分で持って行くと言いだした。
そしてきり丸の返事も聞かずそのまま客の下へと向かった。
「なぁAさん!私にも触らせてくれないか?」
「あぁ?何をだ?」
「尻」
「……何アホな事ぬかしてんだ 触りたけりゃあ自分のを触っていやがれ」
「それじゃあ意味がないじゃないか!あの客はに触らせて私は駄目なのか!」
「駄目もくそもねぇよ 私だって好きで触らせたわけじゃねぇ」
七松の言う事に傍にいた潮江は顔を真っ赤にしながら「小平太!なななな何言って」と言いどもっている。
潮江って意外と赤面症だよな。
そんな二人を放って私はきり丸と共に中在家の様子を見る。
客の様子を見る限り中在家の作った団子は美味いようだ。
だが、アイツ近すぎねぇか?心のなしか客の顔も気まずそうである。
まぁ中在家自身は美味いという顔が嬉しいようでいつもの無表情がさらに険しくなっていきとても嬉しそうだ。
結局堪忍袋の緒が切れた客が「これ以上食べられるか!」と残った団子の皿を中在家の顔面にぶつけてしまった。
その事に多大なるショックを受けた中在家は今現在厨房の隅で体育座りをしている。
ん〜、なんと声をかけたらいいか。
「中在家……まぁそのー、そんなに落ち込まんでもいいじゃねぇか、な?」
そう慰めている傍で潮江が次の団子を作り始めている。
彼の手元を見ると普通の団子の色とはかけ離れた凄い色をした団子がそこにあった。
潮江にその団子の材料を聞くと、ドクダミから始まりマムシやトカゲの燻製等の滋養強壮剤を入れていると言う。
……この団子を食う客が可愛そうに思ってしまう。米粒程度だがな。
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年9月25日 23時