9話 ページ9
へろへろになりながらやっとこさ迎えた休日。
三日徹夜したせいで更に深くなったクマをコンシーラーで塗り隠した後に化粧をして小奇麗になった私は、ノボリさんがいるバトルサブウェイに向かった。
勿論、ポケモンバトルをするためではない。
今日の私の予定は、バトルサブウェイに居座りノボリさんを観察することだ。
変態臭いことは百も承知だが、こうでもしないと私の心が枯れきって荒んでしまう。
ノボリさんの姿を見るだけで私の心は潤い、ノボリさんの声を聞くだけで私の心は元気いっぱいになる。
まさに、ノボリさんの存在自体が私にとっての栄養ドリンクである。
タダで心もなんなら体も元気になるから、まさにノボリさん様様だ。
珍しいことに世間の休日と私の休日が重なっている。
その為か、いつも利用している地下鉄はいつも以上に人で賑わっているように感じられる。
私は邪魔にならないような場所を探しだし、気配を消して佇む。
これまで私はクソ上司に目を付けられないように、意識して影を薄くしようとしてきたのだ。
極限まで影を薄くすることなど、今の私にとっては容易いこと。
現に壁に寄り掛かる私に人々は目もくれず、がやがやと私の前を通り過ぎていく。
まるで、そこには何もいないかのように通り過ぎていくのだ。
それに幾ばくかの寂しさを感じるが、私は小さく首を振る。
この影の薄さのおかげで、人知れずノボリさんを探すことが出来るんだ。
むしろ喜ぶべきことだ。
そう自分に言い聞かし、私はゆっくりと首を左右に動かしてみる。
女の子の二人組や子供連れの家族、そしてカップル。
私の前を通るそれらは、どれも楽しそうに顔を綻ばせている。
そんな人たちの間からは緑色のスーツがちらほらと見えるが、黒色は未だに見えない。
まぁこの地下鉄のボスを務めるお人だ、そう簡単にはお姿は現さないか。
だが、今日は休日で用事もない。
クソ上司から連絡が来ないように携帯の電源も切っている。
やるべきことは昨日のうちに全部済ませたし、私がいなくても大丈夫なように資料も作って置いた。
それに、出来るだけ連絡してくるんじゃねぇと同僚に詰めといたからおそらく大丈夫だろう。
もし、連絡がきたとしても明日叱られるだけだ。
あのクソ上司は大袈裟に怒鳴るだけで、へこへこ頭下げていれば気がすむタイプの男。
それだけですむなら、安いものだ。
そんなことを思いながら、私は気配を消しながら辺りを見渡した。
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長月シキカ(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます! サブマスの小説って確かに少ないですよね……。鶴媛様のお言葉を胸にこれからも精進致します! 閲覧感謝です♪ (2022年1月2日 0時) (
レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - サブマスが出てくる小説少ないので嬉しいです！！ (2022年1月1日 20時) (レス) @page50 id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - きりさん» コメントありがとうございます! 最近ハマったポケモンという舞台での拙い作品にそのように言っていただき本当に嬉しいです＾＾確かにBWの作品って最近ないですよね……きり様の言葉を励みに、これからも頑張ります!! 閲覧感謝です♪ (2021年12月18日 23時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
きり - あ、ごめんなさい。「擬態が」の部分はミスです💦 (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
きり - 初コメ失礼します。すっごく面白いです！ポケモン、特にBWの小説は最近全然ないので、久しぶりに見つけてすごく嬉しくなりました。 サブマスの2人、いいですよね……！ゾロアも擬態がとても可愛いし、読んでいてほっこりします。これからも更新頑張って下さい！ (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年11月28日 2時
