42話 ページ42
医者から念を押された私は、一人っきりになった病室であーあと声を上げベッドに横たわる。
ぼすりと柔らかな枕に迎えられ、私は白くて四角い天井を見上げた。
「まいったな……またあのクソ上司に連絡しても返ってくる言葉は同じだろうし、どうしたもんか」
大きなため息をつきながらボケェと天井を見つめていると、コンコンと軽いノック音が部屋にこだまする。
また看護師さんかなと思い、はいと声をかけるとゆっくりとドアが開かれた。
近づいてくる足音のほうに顔を向けると、私は驚きからヒョッと変な声が喉からこぼれだした。
目の前には帽子を深くかぶりラフな格好をしたノボリさんの姿があり、私ははくはくと口を動かす。
なんでここにノボリさんがと言葉を発する前に、目の前のノボリさんが口を開く。
「こんにちは、お見舞いに来たよ」
「ク、クダリさんっ!? どっどうしてここに!? お仕事はどうしっゴホッウェッホッエホッ!」
帽子を上げてニコリと笑みを浮かべて挨拶をする姿に、私は目の前の人がノボリさんではなくクダリさんだと気づいた。
名前を間違える前で良かった、と思いつつ何故ここにと聞こうとした言葉は、痛む喉から吐き出される咳で途絶えてしまう。
背中を丸めて深く咳をする私の背に温かさを感じ、横目で見るとクダリさんが近くに来ているのが分かり、彼が私の背中をさすってくれているんだと悟る。
「大丈夫?」
「ゲホッエホッ……だ、大丈夫です」
「まだ本調子じゃないんでしょ? ちゃんと安静にしてなきゃ」
ほら横になって、とクダリさんに促され私は気恥ずかしくなりつつも大人しくベッドに横になる。
私が横になったのを確認し、クダリさんは傍に置いてあったパイプ椅子を広げてソレに腰かけた。
「それにしても、どうしてクダリさんがここに?」
「だから、お見舞いに来た」
「いや、それは分かったんですけど、何故クダリさんが私なんかのお見舞いに来て下さったのかを聞いてるんです」
「お医者さんから聞いてないの? 僕とノボリが倒れてるAを見つけて救急車を呼んだんだよ」
「……へ?」
首を傾げながらキョトンとした顔でそう告げるクダリさんの言葉に、私は素っ頓狂な声がぽろりと口からこぼれ落ちる。
しばしの間の後、私は勢いよく起き上がりベッドの上で綺麗な土下座をする。
「す、すみませんでした! 助けていただいたというのにお礼もせず、大っ変失礼な事を」
本当にすみませんでした、と私はベッドに頭を擦りつける。
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長月シキカ(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます! サブマスの小説って確かに少ないですよね……。鶴媛様のお言葉を胸にこれからも精進致します! 閲覧感謝です♪ (2022年1月2日 0時) (
レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - サブマスが出てくる小説少ないので嬉しいです！！ (2022年1月1日 20時) (レス) @page50 id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - きりさん» コメントありがとうございます! 最近ハマったポケモンという舞台での拙い作品にそのように言っていただき本当に嬉しいです＾＾確かにBWの作品って最近ないですよね……きり様の言葉を励みに、これからも頑張ります!! 閲覧感謝です♪ (2021年12月18日 23時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
きり - あ、ごめんなさい。「擬態が」の部分はミスです💦 (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
きり - 初コメ失礼します。すっごく面白いです！ポケモン、特にBWの小説は最近全然ないので、久しぶりに見つけてすごく嬉しくなりました。 サブマスの2人、いいですよね……！ゾロアも擬態がとても可愛いし、読んでいてほっこりします。これからも更新頑張って下さい！ (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年11月28日 2時
