34話 ページ34
なんて会話をしたその日の夜。
連勤続きだったノボリを半ば強引に家に帰し、僕が夜勤に入った。
書類作業に飽きちゃった僕は、気分転換しようとホームを巡回していた。
プラプラと見慣れたホームを歩いていると、視界の端に見覚えのある姿が目に入った。
黒い女性用のスーツに身を包みゾロアを腕に抱いている人、Aだ。
僕はすぐに彼女が歩いていった方向へ体を向け、速足で彼女と距離を詰める。
頭の中でどう話しかけようか、と考えを巡らせながらトトトッと彼女に近寄った。
色々と考えたが、やっぱりノボリと同じようにポケモンをきっかけにしようと決めた僕は彼女に声をかけた。
そうして声をかけてAから返ってきたのは――悲鳴だった。
Aの悲鳴の原因は、僕の声に驚いたゾロアがAの手に噛みついてしまったことだった。
それから色々あったが、彼女が僕を"サブウェイマスター"のクダリだと言い、思ってた通り彼女は僕の事も覚えてはいなかった。
ちょっと寂しいけど、今日また会えたんだからこれから覚えてもらえばいい。
それから、しばらく彼女と他愛のない話をしていると、僕はある確信を得た。
Aはノボリが好きだ。
恋愛経験のない僕でも分かるのだから、間違いない。……多分、きっと。
だからこそ、あのゾロアもあのように動いたんだ。
Aのゾロアは、多分人嫌いな子だ。
長い事ここで働いているからか、ポケモンを見るとその子がどういう子なのかが分かるようになった。
僕のこの感は、まず外れることはない。
そんな人嫌いのゾロアがAに懐き彼女の為に動くなんて、これはもうほぼ間違いないだろう。
あのゾロアは、ノボリとAのキューピットをしているんだ。
嬉しそうに尻尾を振りながら彼女の頭の上に乗るゾロアとAの後姿思い返しながら、僕はまだ残っている仕事を片付けようと執務室へ足を向ける。
数年、いやなんなら数十年かもしれない。
ノボリはそんな長い間片思いし続け、今やっとスタート地点に立てたのだ。
ノボリは大事な片割れで、Aはノボリの命の恩人で僕の恩人でもある。
彼女は兄弟のピンチで軽いパニックになった僕を落ち着かせてくれたのだ、あの時のAのおかげで本格的なパニックにならなくてすんだのだ。
だからこそ……
「そんな二人には、幸せになって欲しいんだ」
ゾロアに負けないよう僕もキューピット頑張らないと。
そう意気込み、まずは目の前の仕事だと僕はペンを取った。
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長月シキカ(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます! サブマスの小説って確かに少ないですよね……。鶴媛様のお言葉を胸にこれからも精進致します! 閲覧感謝です♪ (2022年1月2日 0時) (
レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - サブマスが出てくる小説少ないので嬉しいです！！ (2022年1月1日 20時) (レス) @page50 id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - きりさん» コメントありがとうございます! 最近ハマったポケモンという舞台での拙い作品にそのように言っていただき本当に嬉しいです＾＾確かにBWの作品って最近ないですよね……きり様の言葉を励みに、これからも頑張ります!! 閲覧感謝です♪ (2021年12月18日 23時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
きり - あ、ごめんなさい。「擬態が」の部分はミスです💦 (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
きり - 初コメ失礼します。すっごく面白いです！ポケモン、特にBWの小説は最近全然ないので、久しぶりに見つけてすごく嬉しくなりました。 サブマスの2人、いいですよね……！ゾロアも擬態がとても可愛いし、読んでいてほっこりします。これからも更新頑張って下さい！ (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年11月28日 2時
