29話 ページ29
「あー! いたっ! えーと、クダリくん?」
「ガゥッ!!」
ガサガサと音を立てながら出てきたのは、Aとガーディだった。
ガーディは、確かこの時の担任の手持ちだったはずだ。
安心したような顔をしながら僕にそう訊ねてくるAに、僕は自然に溢れ出てくる涙を袖で拭いながら何度も頷いた。
「そっか、良かった見つかって。集合時間になっても戻ってこないからみんな心配してるよ……あれ? ノボリくんは?」
僕の傍にノボリがいない事に気付いたAがそう聞いてくるが、僕はボロボロと泣いてしまい震える手で崖の方を指さすしか出来なかった。
「崖? ……まさかッ!?」
僕が出したサインに気付いたのか、Aはすぐさま崖に身を乗り出し下を見た。
崖の下にいるノボリに気付いたのか、彼女は大きな声で叫んだ。
「の、ノボリくん!? ノボリくんっ!! 駄目だ、意識がないのか? と、とにかく」
Aは持っていた自分のスケッチブックに何かを書いてから、ソレをガーディの前に差し出した。
「ガーディお願い。このスケッチブックを先生のところまで持って行って!」
「……ガゥ!」
Aの指示を理解したのかガーディはそう一鳴きすると、スケッチブックを咥えて駆け出した。
ガーディの姿が見えなくなると、Aは自分のポケットへと手を入れると一つのモンスターボールを取りだした。
「お願い、力を貸して」
そう言ってボールを投げると、ボールからはキャタピーが飛び出した。
Aの肩に乗ったキャタピーを一撫でして、彼女は僕の方へ顔を向ける。
そして、僕の震える肩に優しく手を乗せ、口を開いた。
「大丈夫だよ、クダリくん。ノボリくんは私が絶対に助けるから、クダリくんも手伝ってくれる?」
真剣な表情で僕を見てくるAの顔を見て、僕は今まで感じていた不安とか色々が吹き飛ぶような気がした。
僕はゴシゴシと目を擦って涙をやや乱暴に拭い取った。
「ッズ……うんっ」
「ありがとう。じゃあ」
僕の肩から手を離して立ち上がると、崖の方へ足を進める。
「キャタピー、"いとをはく"!」
Aの腕に乗ったキャタピーは指示通りに、崖の下に向かって勢いよく糸を吐き出した。
キャタピーが吐き出した糸は崖の下まで到達すると、Aはゆっくりと後ずさりしていく。
ある程度の長さになった糸を切り、近くの大木に糸の端を括り付けた。
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長月シキカ(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます! サブマスの小説って確かに少ないですよね……。鶴媛様のお言葉を胸にこれからも精進致します! 閲覧感謝です♪ (2022年1月2日 0時) (
レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - サブマスが出てくる小説少ないので嬉しいです！！ (2022年1月1日 20時) (レス) @page50 id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - きりさん» コメントありがとうございます! 最近ハマったポケモンという舞台での拙い作品にそのように言っていただき本当に嬉しいです＾＾確かにBWの作品って最近ないですよね……きり様の言葉を励みに、これからも頑張ります!! 閲覧感謝です♪ (2021年12月18日 23時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
きり - あ、ごめんなさい。「擬態が」の部分はミスです💦 (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
きり - 初コメ失礼します。すっごく面白いです！ポケモン、特にBWの小説は最近全然ないので、久しぶりに見つけてすごく嬉しくなりました。 サブマスの2人、いいですよね……！ゾロアも擬態がとても可愛いし、読んでいてほっこりします。これからも更新頑張って下さい！ (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年11月28日 2時
