15話 ページ15
自身の内側から沸き上がってくる怒りのまま、勢いよく立ち上がるのと同時に右腕を伸ばす。
伸ばした手は見事目の前の男の顔を掴んでいる。
「っるっせぇんだよ。さっきからがやがやと」
「ぅ……ぐぇ……」
私は掴み上げている男をぎろりと睨みつけると、男は息を呑んだ。
己の口からこぼれた低い声は電車内に響き、先ほどまでの喧騒は消えさり辺りは水を打ったように静まり返る。
男を掴み上げたまま、私は一歩前に足を踏み出した。
普段の私ならこんな力はないはずなのだが、おそらく火事場の馬鹿力というものだろう。
「あのな、こちとら十連勤中の五徹目なわけよ。この意味分かるか?」
「ぃ、や……分か、るわけ……」
「あ˝ぁ?」
「ズビバゼン……」
私のドスの利いた声にビビったのか、男は情けない声色でそう言ってくる。
だが、謝られてももう遅い。
私は空いているもう片方の手で男の胸倉を掴むと、大きく息を吸い込んだ。
「人様の貴重な睡眠時間を奪ってんじゃねぇよぉッ!!」
その言葉と共に、私は掴んだ男をそのまま床に向かって投げ落とした。
ダァンと床と男の体躯がぶつかる音と乗客の悲鳴が、電車内に大きく響く。
「ちょ、あんたっ!?」
「あ˝ぁんっ!?」
今投げ落とした男と同じ服を着た女が何か言っていたが、私が睨みつけると短い悲鳴を上げ後ずさりする。
なお、その後プラズマ団の下っ端の女は「あんな血走った目で凄まれるとは思わなかった。夢に出そう」と供述している。
その事をAが知ることは、永遠に来る事はなかった。
閑話休題
コツコツとパンプスを鳴らしながら、プラズマ団の集団へ近づく。
一歩また一歩近づくたびに、プラズマ団の奴らの肩が大きく震えてくのが見えるがそんなことは知ったこっちゃあない。
「おい。そこ座れ」
「へ……?」
「いいからそこに正座ァッ!!」
「はっはいぃ!!!」
私の鶴の一声で、プラズマ団の奴らは全員ピシッと見事に正座をする。
そんな彼ら彼女らを見下ろし、仁王立ちする。
「あのな、ポケモンの解放だなんだいうのは勝手だがな……人様に迷惑かけんのは違うんじゃねぇの? でだ、迷惑をかけたのなら、何か言うことあんだろ? ん?」
「ひぇ……」
「人様の睡眠時間を削ったあげく、こんな大勢の乗客の方々にも迷惑かけて……言わにゃならんことがあるんじゃねぇかって聞いてんだよッッ!!!」
「スイマッセンデシタッ!!」
そう怒号を発した私の目の前に、綺麗な土下座がいくつも並んだ。
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長月シキカ(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます! サブマスの小説って確かに少ないですよね……。鶴媛様のお言葉を胸にこれからも精進致します! 閲覧感謝です♪ (2022年1月2日 0時) (
レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - サブマスが出てくる小説少ないので嬉しいです！！ (2022年1月1日 20時) (レス) @page50 id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - きりさん» コメントありがとうございます! 最近ハマったポケモンという舞台での拙い作品にそのように言っていただき本当に嬉しいです＾＾確かにBWの作品って最近ないですよね……きり様の言葉を励みに、これからも頑張ります!! 閲覧感謝です♪ (2021年12月18日 23時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
きり - あ、ごめんなさい。「擬態が」の部分はミスです💦 (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
きり - 初コメ失礼します。すっごく面白いです！ポケモン、特にBWの小説は最近全然ないので、久しぶりに見つけてすごく嬉しくなりました。 サブマスの2人、いいですよね……！ゾロアも擬態がとても可愛いし、読んでいてほっこりします。これからも更新頑張って下さい！ (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年11月28日 2時
