12話 ページ12
狭い部屋だから、音の出所はすぐに分かった。
音はベランダ側の窓からしている、私はゆっくりと近づきカーテンに手を伸ばす。
そして一気にカーテンを引き、私は目を丸くした。
「君、だったのか」
「クォン」
窓の向こう側にいたのは、昨日助けたあのポケモンだった。
早よ開けろと言わんばかりのポケモンに、しょうがないなと開けてやると、ポケモンはするりと部屋に入ってきた。
我が物顔で私のベッドの上に乗っかるポケモンを見やりながら、私は開けた窓を閉める。
「君、駄目じゃん。勝手にポケモンセンターを抜けだしたりしちゃ」
そう言ってはみるが、ベッドで寛いでいるポケモンは我関せずにそっぽを向いている。
なんやこの子、と思いはしたがひとまず安心感の方が勝っているので、私は胸をなでおろした。
「ガゥ」
ふと足元から聞こえてきた鳴き声に足元へと視線を向けると、先ほどまでベッドの上にいたポケモンが私の足元まで寄ってきていた。
何か言いたげな目を向けてくるポケモンに、私はもしかしてと思い、ハンガーに掛けていたスーツのポケットに手を入れある物を取りだした。
ある物、それは一つのモンスターボールである。
実は一人暮らしを始める際に、何かしらの出会いがあるかもしれないと、一つだけ購入していたのだ。
まさか、ついにこのボールを使う日が来るなんて、と感慨深い気持ちを抱きながら私はポケモンに向かってボールを差し出してみる。
「……一緒に、来る?」
ポケモンゲットの瞬間とは、何歳になってもドキドキと心躍らせるものだ。
そんな気持ちを出来るだえ表に出さないように待っていると、目の前のポケモンが小さな前足を持ち上げる。
そして、ゆっくりと前足がモンスターボールに近づいていき、そして―――
――――思いっきり叩き落とされた。
「えぇーーッ!? いや、今ってゲットされる流れだったじゃん! 嘘やろっ!?」
自分が思い浮かべていたとは、まったく違う現状に私は思わずそう声を荒げる。
喚く私など気にもしていないのか、ポケモンはボールを叩き落とした前足をゆっくり床へとおろした。
そしてもう一度、「ガゥ」と鳴いてみせる。
「……ゲットされたいわけじゃないとすると、もしかして、お腹すいたとか?」
まさかな、と思いつつそう呟くと、目の前のポケモンはそうだと言わんばかりにひと際大きく鳴いた。
そんな姿を見せられた私は、しょうがないなと食べ物を探しに冷蔵庫がある方へと足を向けた。
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長月シキカ(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます! サブマスの小説って確かに少ないですよね……。鶴媛様のお言葉を胸にこれからも精進致します! 閲覧感謝です♪ (2022年1月2日 0時) (
レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - サブマスが出てくる小説少ないので嬉しいです！！ (2022年1月1日 20時) (レス) @page50 id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - きりさん» コメントありがとうございます! 最近ハマったポケモンという舞台での拙い作品にそのように言っていただき本当に嬉しいです＾＾確かにBWの作品って最近ないですよね……きり様の言葉を励みに、これからも頑張ります!! 閲覧感謝です♪ (2021年12月18日 23時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
きり - あ、ごめんなさい。「擬態が」の部分はミスです💦 (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
きり - 初コメ失礼します。すっごく面白いです！ポケモン、特にBWの小説は最近全然ないので、久しぶりに見つけてすごく嬉しくなりました。 サブマスの2人、いいですよね……！ゾロアも擬態がとても可愛いし、読んでいてほっこりします。これからも更新頑張って下さい！ (2021年12月18日 22時) (レス) id: dee96936d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年11月28日 2時
