３６無個性 ページ36
「それが、今回はこの医師自ら連絡が来たんだよ。自分に講習をさせてくれってね」
「……それって大丈夫なんですか? 今うちはただでさえ警戒しなけりゃいけないでしょう」
「相澤君の言うことも一理あるわね」
「……その必要はないと思うっスよ」
校長から受け取った紙を凝視していた私がそう言うと、目の前の三人が「え?」と声を出した。
「どういうことだ? 何故見ず知らずの奴にそう言い切れるんだ」
「まぁ、そう言い切る前に一つ。校長、その連絡って電話でしたっスか?」
「うん? そうだよ」
「じゃあ、その電話の相手、低い声で女言葉を使ってませんでしたっスか?」
「そういえば、そんな感じだったね」
「そうっスか。なら間違いないっスね」
頭の中で散らばったパズルのピースがカチリと当てはまり、私は口元に笑みを浮かべる。
そんな私に痺れを切らしたのか相澤先輩がジロッと私を睨みつけながら口を開いた。
「おい、いい加減説明しろ。合理的じゃねぇな」
「すいませんっス。えーと、自分がこの外部講師を警戒しなくていいといった理由は、この講師が自分の数少ない友人だからっスよ」
「ゆ、友人だと?」
「そうっス。医学生時代の頃からのっスけどね。まさか、海外で仕事してるとは知らなかったなぁ」
紙に書かれた講師の名前を懐かしげに見つめながらそうこぼすと、ミッドナイト先輩が話しかける。
「Aちゃんの友人なら心配ないわね」
「あはは。もしこいつが何かしでかそうとしたら自分が全力で止めるっスからご心配なく。それにこいつは優しい奴だから、この学校に害をなすことはしないっスよ」
「秋嶋君がそこまで言うなら、我らも講師を信頼するよ。ね、相澤君」
「……校長がそうおっしゃるのなら俺はそれでいいです。秋嶋、ちゃんとしろよ」
充血した目を私に向けながらそう言う相澤先輩に私はニッと笑みを浮かべ「勿論っス」と答えると、彼は満足したのか自分の席に戻っていった。
「じゃあ、明日。頼んだよ」
「承知しました」
私の返事を聞いた校長は、クルリと方向を転換し私たちの前から去っていった。
その小さな背中を見送り、私とミッドナイト先輩は各々の仕事に取り掛かる。
いつもの仕事に取り組みながら、私の心は旧友に会える嬉しさや楽しみでいつも以上に弾むのだった。
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長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
