２５無個性 ページ25
冊子には今日言わなければならない事が書かれており、私はそれを読むだけである。
それにしても、相澤先輩って意外に綺麗な字を書くんだな。
なんてことを思いながら、私は連絡事項を生徒達に伝えていく。
「最後に、上鳴君は放課後出すように言われていた小テストのプリントは明日の朝一に相澤先輩へ提出するように、との事っス」
「はーい」
「じゃあこれで帰りのHRは終わりっスから、皆気を付けて帰るように」
私がそう言うと、彼らはそれぞれ荷物を持ったり仲のいい友達のところへ歩み寄ったりと各々の行動を取りだした。
そんな生徒達を横目に私も教室を後にしようとするが、自分の名前を呼ぶ声で私の歩みは止められる。
「秋嶋さん」
「ん? どうしたっスか? 蛙吹さん」
「あのね。私思った事は何でも言っちゃうの」
「うん。自分でよければ何でも言ってくれていいっスよ」
私とほとんど同じ身長である蛙吹さんと目を合わせそう言うと、彼女は口元に人差し指を当てながら言葉を紡ぎ出した。
「私はお友達になりたい人には名前で呼んで欲しいの。だから秋嶋さんにも私の事、梅雨ちゃんと呼んで欲しいの」
「! それは……前にも言ったと思うっスけど一応自分も教師よりの人間っスから」
「でもミッドナイト先生は呼んでくれたわ」
彼女にそう論破され私は言い返す事が出来なかった。
そういえば、何度かミッドナイト先輩が彼女の事を梅雨ちゃんと呼んでいるところを見たことがあるし、ならいいか。
そう決断し私は彼女に向かって言葉を吐き出した。
「分かったっス。えーと……梅雨ちゃん」
「ケロケロ、嬉しいわ。じゃあ私も秋嶋さんの事、Aさんと呼んでもいいかしら?」
今日ビッグ3の方達からそう呼ばれているのを見たから、と言葉を続けた彼女に私は快諾すると梅雨ちゃんは心底嬉しそうな顔をしてケロと鳴いた。
「なんだかAさんともっと仲良しになれた気がするわ」
「自分も何だか不思議な感じがするっス。でも悪い気はしないっスね」
「それなら嬉しいわ。じゃあAさんさようなら、また明日」
「また明日。気を付けて帰るっスよ」
私に軽く頭を下げて教室の出口へと向かう彼女の後姿を見送り、私は今度こそ教室を後にした。
廊下を歩く私の足取りはいつになく軽やかになった気がするのだった。
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長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
