２６無個性 ページ26
梅雨ちゃんが私を名前で呼びだしてから数日が経つと、彼女を真似てか私の事を下の名前で呼ぶ生徒が女子達を中心に続出しだした。
勿論、悪い気はしないしそれだけ私を信用してくれているように思えてなんだか嬉しい気持ちになる。
「おはようございますっAさん」
「はい。おはようっス、葉隠さん」
花壇の花達に水をあげている私に元気いっぱいな声で挨拶をしてくれる葉隠さんに笑顔を向け駆け抜けていく彼女の背を見送る。
今の彼女はきっと晴れやかな笑顔だろう。
こんなとき自分に透明でも視覚化できるみたいな個性があれば、彼女の表情を見る事が出来たのになぁ。
なんてありもしないし出来もしない事を思いながら、私は止めていたホースの水を出し花壇へと撒いていく。
(あ、でもそういう個性がもし私にあったらヒーローコスチュームの時の彼女は流石に見れないな)
葉隠さんのコスチュームは"透明化"である個性を最大限発揮するため手袋とブーツのみで、いわばほぼ全裸なのだ。
そう考えると、自分にそんな個性がなくて良かったと心底思う。
それから私に挨拶をして通り過ぎる生徒達に挨拶を返しながらその生徒の個性がもし自分にあれば、と空想をして密かに楽しんでいた。
＊
＊
＊
「なぁA。お前もし俺ら教師達の個性が使えるってなればどの個性が一番なんだ?」
教師の方達にコーヒーやお茶を配っていた私にマイク先輩が椅子にもたれながらそう聞いてきた。
彼の声が聞こえた他の教師達も興味津々といった風な目を私に向ける。
今日はもしも話が多いな。
なんてことを思いつつ私はマイク先輩にコーヒーを渡してから、教師陣の個性を思い返していく。
実のところ、どの個性も欲しいのが本音だ。
「うーん。先輩達の個性はどれも素晴らしいっスからね……しいて言うなら、エクトプラズム先輩の個性っスかね」
「ほぉ〜意外なとこついてきたな」
「そうっスか? でもエクトプラズム先輩の個性って自分の勢力を格段にあげる事ができるっスし自分の死角もなくなるじゃないっスか。……それに」
「なるほどなぁ」
私の言葉に被せ目の前のマイク先輩が納得したように頷きながらそう言う。
チラッと視界の端に見えるエクトプラズム先輩はマスクで表情がよく読めないが、どことなく嬉しそうに見え、私は続けようとした言葉を言うのが申し訳なさくなってしまった。
そんな事などつゆ知らず、マイク先輩は「それに、なんだ?」と聞いてくるのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
