２０無個性 ページ20
「秋嶋。本当に大丈夫か?」
「もう大丈夫っスよ! 先輩が手加減してくれたおかげっス」
再度心配そうな目を向ける先輩に笑みを浮かべつつそう言うと、先輩は「そうか」と呟きホッとしたような表情を浮かべた。
「やっぱ長い事武道から離れてると中々腕が戻らないもんスね」
「一朝一夕で戻るもんでもないだろう」
「それもそうっスね……もっかい道場に通いなおそうかな」
前まで通っていた道場まだやってるのかな、などと考えていた私をよそに相澤先輩が口を開き私に話しかける。
「そういえば、お前。実際には何年武道やってたんだ?」
「え? えーと……小学生の頃から医学部に進学してすぐまではやってましたっスけど、それから忙しくなって全部辞めちゃいましたっスから、だいたい十年くらいっスかね」
指折りで数えつつそう答えると先輩は「結構長くやってたんだな」と感心したふうな声色で言葉を返した。
そして、その言葉に続き口を開く。
「よほど好きなんだな、武道が」
「それはまぁ……最初はそんなに好きじゃなかったっスけどね」
相澤先輩から視線を外しつつボソリと呟く。
小さく呟いたつもりでいたが、私の言葉は彼の耳に届いたらしく「最初は?」とオウム返ししてきた。
自分の独り言が大きすぎるのか、はたまた先輩が地獄耳なだけか。
それを確認する術はない。
私は頭をやや乱暴に掻きながら言葉を紡ぎだした。
「自分が武道をやり始めようとしたきっかけは、一つのある番組だったっス。その番組は空手のチャンピオンを特集していて、私はそれを偶然目にしたんスよ」
「……」
「その番組でチャンピオンが言ったんス。"空手を長くやっていると皮膚が厚くなるからか痛みとかに慣れちゃいますね"と。それを聞いて自分は空手をやり始めたんスよ」
「……つまり、お前はアイツ――義妹の暴力に慣れる為に始めたってことか」
「ご明察っス。まぁ義妹だけじゃなくアイツの取り巻きみたいな奴らからの暴力もあったっスけど」
そう言って私は少しだけ間をあけ、再び口から言葉を落としていく。
「最初は与えられる痛みに慣れる為にやり始めた武道っスけど、やってみたら楽しいし好きになっていって気づいたらたくさんの武道に手を出してたんスよ。自分意外と体育会系だったみたいっス」
ハハハッと笑みをこぼすが、先輩は口を真一文字に閉じ何とも言えない表情を私に向ける。
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長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
