３６話 適度な睡眠は大事 ページ36
「な、なんで……なんで陽がこんなに茜色なんだ!?」
私が寝た時は、確かに昼をちょっと過ぎた頃だ。
それから十五分しかたっていないのに、こんなに陽が早く暮れるなんて……冬でもない今じゃ絶対にありえない。
一体どうなってるんだ? と頭を捻っていると横の方からモソリと何かが動いたのが視界の端に映る。
その正体に、私は怒りのこもった目でキッと睨みつけた。
「おはようAちゃん」
「おはよう、じゃないですよ! 組頭!! 私、四半時で起こしてほしいって言いましたよね!?」
「言ったけど、それを了承した覚えはないよ」
悪びれる様子もない組頭に、私は彼をどつきたくなる衝動に駆られるがそれを一生懸命に抑える。
そして、こんな言い争いをしている場合ではないと判断し、私は文机に置きっぱにしている書類に手を付け始めた。
「もう仕事かい? Aちゃんは真面目だねぇ」
「あんたが不真面目すぎるんですよ! あぁもう!」
頭がすっきりしているおかげか、寝る前よりスムーズに計算が進んでいき終わっておらず高く積まれた書類がドンドン低くなっていき、逆に計算が終わった書類がドンドン高くなっていく。
そして、最後の一枚が終わりハァと息をつき筆を置いた。私の耳に、組頭の拍手の音が聞こえてくる。
「やぁ凄いね。あれだけの書類をあっという間に終わらせちゃって」
「ハァ……クソッ、他人事だと思って」
疲れ切った頭と体のせいで荒くなった息のままそう言うが、組頭は全く気にしていないようで飄々とした態度のまま口を開いた。
「他人事だからね。それに適度に睡眠を取っていればこれだけ早く仕事が終わるってことを学べたじゃないか」
「それはそうですけど……まぁ終わったからいいとするか」
ゴキゴキと肩を鳴らす私に、組頭は「親父臭いなぁ」と呆れた口調でそういう。
男で横座りするあんたに言われたかねぇよ。
その言葉を飲みこみ、出来上がった書類を抱える。
「じゃあこの書類を尊奈門先輩に渡してきますから、組頭もちゃんと仕事してくださいよ」
「分かってるよ」
「では。あ、布団はそのままでいいですよ。あとで片付けるんで」
そう言い残し、私は自室を後にして出来上がった書類を尊奈門先輩のもとへと運んだ。
尊奈門先輩に書類を渡したあと部屋に戻ると文机の上に一枚の紙が置いており、その紙には組頭の字で「あまり根を詰めないように」と書かれていた。
「あんたもね」
私はそう呟きながらその紙を懐にしまった。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
