２話 あの世の入口 ページ2
そんな生前の記憶を思い返しながら、私は目を開ける。
目の前には見上げても上が見えないほど大きな門がそびえ立っている。
おそらく、コレが"あの世"への入口なのだろう。
そう思い私は目の前のでかい門を見上げながら、ハァと深く息を吐いた。
なんで、私殺されてしまったのだろうか。
そんな疑問がいつまでも私の頭の中をぐるぐる回っていく。
しかし、昔からあまり物事に対して根をもたない私はこれ以上考えてもしょうがないと思い始めた。
「両親に親孝行出来なかったのは残念だけど、まぁﾀﾋんでしまったしもうこの門の先に行くしかないか……父さん、母さん。二十二年間大事に育ててくれてありがとうございました」
目の前の門に背を向け私は深く頭を下げながら此処にはいない両親へ感謝の言葉を口に出した。
その言葉の後、小さな声で「親より先にﾀﾋんで、親不孝者で、ごめんなさい」と謝罪も口にした。
下げていた頭をゆっくりと上げ、現世への未練を断ち切るように門の中へと歩みを進めた。
しばらく歩いていると、真っ白な着物を着た大勢の人の列が見えてきた。
その列は先頭の人が見えないほど長く続いているようだ。
「なっげぇな、おい」
「おい! 立ち止らずさっさと進め」
「あ、スンマセン」
ボケ―っと列の前を見ていると、いつの間にか現れた赤い皮膚で覆われ二本の角をもった大男――つまり鬼が持っていた金棒で背骨辺りをどつかれる。
鬼もそんなに力を入れていなかったのか、私の背骨が折れることは無かった。
背中をさすりながら、今更ながら私は自分の体の傷が一切消えていることに気付いた。
こりゃあいい、あの傷だらけの体のままだったら流石の私も辛いというものだ。
ていうか地獄にあんな現世の絵本とかに乗っている典型的な鬼が本当にいるなんて思ってもみなかったし、ましてや地獄なんてものが本当にあるのだというのも今知った。
いやー、人間ってﾀﾋんでから気付かされる事もあるんだなぁ。
なんてどこか他人事のように思いながら、私はお行儀よく列に並びゆっくりと進んでいく。
いつもなら腕にしている時計もないので今の正確な時間が分からないがそんなに長く待たされた気持ちにもならないほどの時間がたった頃、私の耳に水が流れる音が届いた。
「この水の音って……やっぱ三途の川だよな」
私は密かにテンションが上がったが、再び傍にいる鬼にどつかれそうなので私は上がったテンションをいつものテンションに戻した。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
