９標的 敵の名前の段 ページ9
いきなり私が土下座したため彼らは驚いたのか、沢田君達が土下座を止めるよう言うので仕方なく顔を上げる。
そして、沢田君達は喜んで私に力を貸してくれると言ってくれた。
雲雀さんだけは不本意そうに眉をひそめているが、一応協力者として数えていいだろう。
「じゃあ全てを話す前に……ランボ君ちょっとこっちおいで」
「なになに〜ランボさんと遊びたいの〜?」
沢田君に抱えられていたランボ君は彼の腕から飛び出し私の方へ駆け寄ってくる。
そんな彼を腕にかけ、印を結ぶ。
「我が言の葉よ、言霊となり彼の者に眠りを捧げん……"眠"」
そう唱え終わると、今まで目を開けて起きていたランボ君の瞼が徐々におりていきやがてスヤスヤと寝息を立て始めた。
「え? ランボどうしちゃったの?」
「ただ眠らせただけだよ。元の世界に戻れたら自然に起きるから心配しないで」
「そ、そっか……ってさっきのは一体!?」
「そう言えば、あの声が言っていた"鎮め人"とは一体何のことだ?」
「沢田君、リボーン君……ちゃんと全部話すから」
私はランボ君を抱えたまま彼らに顔を向けた。
「私には"呪言の術"と"結界術"の二つの能力が備わっている。"呪言の術"は読んで字の如く呪いの言葉を吐くことでその通りに人を呪ったりまじないを賭けたりできる術で"結界術"は悪霊とかを封じ込める透明な箱のようなもの……獄寺君達は未来で一度見てるはずだよ」
「! ゴーストの動きを止めてたアレか」
「そう。あの結界は実体のない物でも通すことはできないんだ。さて私の術の説明はこれくらいにして、次に"鎮め人"について説明するよ」
「"鎮め人"……」
「普通人がﾀﾋんだら、冥界へと誘われる。だけどこの世に未練を残したままﾀﾋんでしまった人はその未練によりこの世に縛られる。これが地縛霊や浮遊霊になると考えてもらって構わない。そしてその縛られた魂の未練をなくしてやり成仏させるのが"鎮め人"の役目なの」
「では、今のこの状況も極限に地縛霊などの仕業なのか?」
笹川先輩のその言葉に、私はゆっくりと首を横にする。
今の状況は地縛霊とか浮遊霊とかの次元は、とうに超えているのだ。
「今この状況を作りだしているのは、全ての鬼を統べる鬼たちの長。"酒呑童子"だよ」
「しゅ、"酒吞童子"……?」
「……昔、源頼光らに討伐されたというあの"酒吞童子"か。だが、あれは」
作り話じゃとでも言いたげなリボーン君に、私はその言葉をきるように言葉をかける。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年6月17日 20時
