１９妖怪 迷惑じゃない心配したんだ ページ19
空にあいた切れ目を通ると、先程までの痛いほどの静寂とは真逆のザワザワとした日常音が鼓膜を震わせる。
そして、周りには長次さんや雷蔵さん達が私達を出迎える。
私、戻ってきたんだ……。
「Aッ! 先輩! 無事で何よりです」
「あぁ雷蔵。長次も出入口サンキューな」
「気にするな。A、怪我はないか?」
「……怪我は、ないです。あの……色々、迷惑かけて……ごめ」
「バカタレィ!!」
留三郎さんに優しく地面に下ろされた私は、涙ぐみながら謝罪の言葉を言おうとすると一際険しい顔をした文次郎さんが声を荒げ私に近づいてくる。
ここが路地裏でなかったら、この声で大勢の人が何事かと振り返っただろう。
あぁ、やっぱり私は皆にたくさん迷惑かけちゃったんだな。
私は文次郎さんがこれから言うであろう厳しい言葉を甘んじて受けようと、文次郎さんの顔を見る。
しかし、文次郎さんは私の両肩を両手で触れながら先ほどとは打って変わって優しい声色で私に言葉をかける。
「誰が迷惑だなんて思うか。皆お前を"心配"したんだ。バカタレ」
そう言い、私の頭をワシワシと強すぎずかといって弱すぎない力で撫でていく。
撫でられながら、周りを見ると全員文次郎さんの言葉に同意するように笑みを浮かべ首を縦に振る。
そんな彼らの優しさに、私はまるで水をせき止めるダムが崩壊したように大粒の涙を溢しながら目の前の文次郎さんの胸に飛び込み大声で泣いてしまった。
そして、泣きながらごめんなさいを繰り返しながら私はこの優しい義兄たちにまるで赤ん坊のように泣き止むまであやされたのだった。
数分してようやく涙が止まった私は兄たちと一緒に我が家に帰る途中に別ルートで私を探していた小平太さん達とも合流し、再び家路へと急ぐ。
もう帰ることはないと思っていた長い階段を上がり、庭を抜け玄関の扉を開けようと手を伸ばすがやっぱり少し、気まずくなる。
「A、大丈夫だから開けてごらんよ」
「うん」
喜八郎さんにそう背中を押され私は意を決して扉を開けた。
するとその音に気が付いたのか、奥からバタバタと慌ただしい音が此方に向かってやってきた伊作さんと仙蔵さんが私の姿を見てホッとしたような表情を浮かべいている。
「あ、の……ごめん」
「ごめんよッ!」
私が謝罪を言う前よりはやく伊作さんが私を抱きしめながら謝罪の言葉を述べる。
苦しいぐらいに抱きしめられ私は小さく呻くと、それに気づいた仙蔵さんが声をかけた。
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長月シキカ(プロフ) - 戦国娘さん» コメントありがとうございます！戦国娘様のお言葉大変嬉しく思います！これから本編の更新も進めていけるよう精進致します^ ^ 本当にありがとうございました！ (2017年1月17日 21時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
戦国娘(プロフ) - 本編を読んで過去編を読み始めたのですがとても面白かったです(^^)本編の更新も心待ちしていますので頑張って下さい！ (2017年1月17日 21時) (レス) id: 55fa96ba6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月11日 20時
