１６妖怪 あべこべの世界 ページ16
「な、なにこれ……!?」
私の目に飛び込んだのは良く道路とかに立てられている交通安全を促すあの看板だった。
しかし、その看板自体がおかしいのだ。
何がおかしいのかと言うと、その看板に書かれていた言葉が"鏡文字"で書かれているという事だ。
「私……いつの間に"
狭間……昔お爺さんが話してくれたことの一つで、この世の中には生きた者達が住む世界とﾀﾋんだ者達が住む、所謂あの世と呼ばれる世界、そしてその二つの世界に挟まれた世界、"狭間"があると聞かされていた。
その世界は、悲しい思いを抱いたままﾀﾋんだ者や強い怒りを抱いたままﾀﾋんだ者など負の感情を抱いたままﾀﾋんだ者が、他の生きた人間を引き込んであの世へと道連れにしようとする者が蔓延る世界で、この世界の大きな特徴は全てが"あべこべ"なのだとお爺さんは言っていた。
その時はお爺さんの作り話だと思って聞いていたが、まさか本当にこんな世界があるなんて思ってもみなかった。
私はここが狭間であると証拠づけるそのあべこべの看板を見ながら放心しかけたが、後ろの方であの化物たちの嫌な気配を感じ、すぐ傍の細い路地へと入り息を潜めた。
この世界はコロコロと外観が変わるようで先程まで民家が立ち並ぶ道路にいたはずなのに、今は並盛商店街にある路地裏にいるのだ。
しかし、外観は変わっても化物との距離は変わらないため私は息を止め気配を消すよう努力する。
ゾワゾワと鳥肌が立ちカタカタと全身が震える。
嫌な音を立てながら化け物が路地裏の出入口を通りチラリとこちらに目を向けた。
あぁ、この世に神という存在がいるのならどうか私の願いを叶えて下さい。
どうか、あの化け物がこちらに気付くことなく立ち去りますように……!!
私は目を閉じ両手を強く握りしめこの世にいるかも分からない神に全身全霊で祈りを捧げた。
その祈りが通じたのか、化け物はこの路地裏をジッと見つめた後ゆっくりとその場を通り過ぎていった。
その足音とも呼べるのか分からない気味の悪い音は徐々に通り過ぎ、最終的にはパッとやんだ。
私はホゥと小さく息を吐き全身の力を抜いた瞬間、私の後ろにじんわりと嫌な空気が私の背中をなぞる。
しかし今私の背中には……"壁"しかないはず。
そう思った瞬間、私の頭上から耳障りな酷いノイズ交じりの声が聞こえてきた。
「ミぃ〜つケタっ」
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長月シキカ(プロフ) - 戦国娘さん» コメントありがとうございます！戦国娘様のお言葉大変嬉しく思います！これから本編の更新も進めていけるよう精進致します^ ^ 本当にありがとうございました！ (2017年1月17日 21時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
戦国娘(プロフ) - 本編を読んで過去編を読み始めたのですがとても面白かったです(^^)本編の更新も心待ちしていますので頑張って下さい！ (2017年1月17日 21時) (レス) id: 55fa96ba6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月11日 20時
