１４妖怪 優しさは今はいらない ページ14
道ですれ違う人たちが私を見て怪訝そうな目で見て、ひそひそと何か話している。
そんな事気にもせず泣きながら道を歩く。
日本人は優しい人が多いと何かの番組で言っていたが、言うほど人は優しくはない。
しかし、それがかえって私にはありがたかった。
とにかく泣きたかった。
もっと言えば、消えたかった。
泣いて、泣いて、泣きまくったら体中が溶けて消えることが出来るんじゃないかと本気で思っていた。
グズグズと鼻をすすりながら当てもなく歩いていると、急に辺りがシンッとなった気がして涙を溢しながら周りを見ると周りには誰もおらず、赤い夕陽が私だけを照らしている。
当てもなく歩いていたせいか、周りの景色は見たことがなかった。
しかし、私はその景色に違和感を感じた。
何がどうとか、口では説明しずらいが何かがおかしいのだ。
その違和感のせいで今まで溢れ出ていた涙が引っ込んでしまい、私は途方に暮れ気持ちを落ち着けようと左の手首をさすりそして、ハッとした。
そうだ、ブレスレットはあの時伊作さんに向かって投げつけたんだっけ。
あのブレスレットに触れると、なんだか落ち着くような気がするから良くつけていたのだが今はなく、私はどうしようもない不安にかられる。
すると後ろの方から声をかけられ後ろを向くと、私と同じくらいの年の男の子が笑みを浮かべて立っていた。
背格好は私より少しだけ高いようだが、こんな子クラスメートでは見たことがない。
その男の子は、人懐っこい笑みを浮かべながら私に声をかけてきた。
「どうしたの? こんな所で」
「あ、えっと…色々、あって…気づいた、らここに……」
学校でもそんなに人と話すことのない私は、恥ずかしいくらいに嚙みながらも事情を話すと、目の前の男の子は笑みを崩すことなく、「じゃあ一緒に帰ろう」と言って私の手を取った。
帰ろうと言われても私に帰る場所なんて……。
それに、あんな酷い事を言った手前のこのこと帰るのもどうかと思うが、とりあえず自分が分かる道に出るまでは彼に案内してもらおう。
そう思い私は差し伸べられた手を掴むと彼の手はまるで氷でも掴んでいるのかと思うくらいに冷たかった。
「君の手、凄く冷たいね」
「……冷え性だからね、君の手はとっても温かいね」
そう言い男の子は私の手を引いてスタスタと歩いていく。
赤い夕日が目に入り少し眩しい。
そんな夕日に照らされ道路には"私の影だけ"が長く伸びていたのに気付くことはなかった。
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長月シキカ(プロフ) - 戦国娘さん» コメントありがとうございます！戦国娘様のお言葉大変嬉しく思います！これから本編の更新も進めていけるよう精進致します^ ^ 本当にありがとうございました！ (2017年1月17日 21時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
戦国娘(プロフ) - 本編を読んで過去編を読み始めたのですがとても面白かったです(^^)本編の更新も心待ちしていますので頑張って下さい！ (2017年1月17日 21時) (レス) id: 55fa96ba6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月11日 20時
