１２妖怪 義妹の思い ページ12
時は少し遡る……。
Aに美味しいものを食べさせようと買い物から終えた長次と雷蔵と三郎が両手に食べ物や日用品が大量に入った袋を持ち長い階段を上っていた。
「手伝ってもらって、悪いな……雷蔵、三郎」
「いいえ、僕たち暇してましたし」
「不破雷蔵あるところ鉢屋三郎あり、ですから気にしなくていいですよ先輩」
そう言う後輩に固い口元が緩むのを長次は感じていた。
長い階段を上りきり少し歩いた先にある玄関の扉を開けようと手にかけた瞬間、扉が勢いよく開かれ小さな影が長次を押しのけ走り去る。
彼らはその小さな影がAであるのを確認し、すぐに声をかけたがAは自分達の声に応えることなく階段を駆け降りていってしまった。
確か今日は伊作や仙蔵たちが家にいる筈だと、思い長次たち事情を聞くため家の中に入るとそこには廊下ですっ転んでいる伊作と廊下に散らばっている花束を呆然に見つめる仙蔵がいた。
「伊作、大丈夫か?」
「うっ……ハッ! 長次、Aは!?」
「Aなら先ほど勢いよく出ていったが、一体何があった」
「じ、実は……」
目に涙を浮かべながら伊作が話し始めた内容に三人は心底驚いた。
まさか、数週間Aに取り巻いていた怨霊の事をAが勘違いしてしまうなんて誰も予想なんてしていないだろう。
長次は呆然とする伊作の肩を抱きながら廊下に散らばる花びらに目を向ける。
「(白いダリアにクチナシ。Aは何故この花を……まさか!)」
もう少しで答えが出そうと頭を回転させる長次に後輩の声が耳に入った。
「先輩、このメッセージカード見てください」
雷蔵が目に薄く涙の膜を張り一枚のメッセージカードを手渡してきた。
疑問に思いながらもそのメッセージカードを開いて読んでみると、長次は目を見開いて驚いた。
"十六人のお兄ちゃんたちへ
この一年、酷い態度を取ってしまってごめんなさい。
でもお兄ちゃんたちは、そんな私にたくさん優しくしてくれたね。
私、その優しさがとっても嬉しかった。
そのお礼にブーケをプレゼントします。
生前お爺さんから貰ったお小遣い全部じゃこの小さなブーケしか買えなかったけど、その分 気持ちはたくさん込めたよ。
ありがとうの感謝を込めて……大好きだよ。
Aより"
メッセージカードを読み終えた長次の見開いた目から一滴の涙が零れ落ち、カードを持つ手をぬらした。
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長月シキカ(プロフ) - 戦国娘さん» コメントありがとうございます！戦国娘様のお言葉大変嬉しく思います！これから本編の更新も進めていけるよう精進致します^ ^ 本当にありがとうございました！ (2017年1月17日 21時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
戦国娘(プロフ) - 本編を読んで過去編を読み始めたのですがとても面白かったです(^^)本編の更新も心待ちしていますので頑張って下さい！ (2017年1月17日 21時) (レス) id: 55fa96ba6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月11日 20時
