２妖怪 義兄妹とは ページ2
茶髪の男の人と一緒に無事お葬式を終わらせた私は、かつてお爺さんと暮らしていた家の縁側に腰かけいまだ降りやまない雨をボーっと見ている。
ふと誰かに声をかけられた気がして振り向くと、先程の茶髪の男の人が柔和な笑みを浮かべて立っていた。
「A……君に話したい事があるんだ」
「……なん、でしょうか?」
「僕"たち"に敬語は要らないよ。さぁ、おいで」
僕"たち"?
この茶髪の人以外にも人がいるのだろうか。
そう疑問に思いながらも私は、大人しく男の人についていく。
連れてこられたのは、お爺さんが生きていた時大事なお客様を通していた客間だった。
そして、襖を開けると目の前の光景に私は驚きを隠せなかった。
私の目の前には、見目が整った十五の男の人が座っていたのだ。
これで茶髪の男の人を合わせて計十六人の男の人がいることになる。
「我々は初めましてだな。A」
「……だ、誰ですか?」
「おいおい、これから兄ちゃんになるんだから敬語なんてつけなくていいんだぜ」
そう言いながらにこやかに笑う男の人に、私はますます訳が分からなくなってしまった。
私の顔に訳が分からないとでも書いてあったのだろうか、最初に私に話しかけた男の人が兄発言をした男の人をはたく。
「っにすんだよっ! 仙蔵!!」
「お前のせいで、Aが混乱しているだろうが。留三郎……立ち話もなんだ、A座りなさい」
仙蔵と呼ばれた男の人がそう促す為、私は自分の家だというのにまるで他人の家にいるような変な感覚に襲われた。
私が彼らの目の前に座ったのを確認すると、ここまで連れてきた茶髪の男の人も十五人の中に入っていく。
「さて、色々と困惑しているとは思うが順を追って話をしていこう。まず始めにAを引き取った時点で、我々の間に"義兄妹"としての繋がりが出来た」
「ぎ、きょうだい……?」
「つまり、血は繋がってない兄妹という意味だ。勝手ながらそうした方が人間の手続きが楽なのだ」
「確かに養子縁組も考えたけど、そうなると誰が父親かってなるからね」
「伊作の言う通りだ。ここまではいいか? A」
そう聞かれ私は、先程の話を脳内で反芻し小さく頷いて見せた。
その行動を肯定と受けた彼は再び口を開く。
「賢い子だA。では次は我々の"正体"について話そうか」
そう言った仙蔵さんや他の人たちがその大きな手で顔を一瞬隠しそしてまた顔を見せると、今まで黒いスーツだった彼らはそれぞれ違う姿になっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
長月シキカ(プロフ) - 戦国娘さん» コメントありがとうございます！戦国娘様のお言葉大変嬉しく思います！これから本編の更新も進めていけるよう精進致します^ ^ 本当にありがとうございました！ (2017年1月17日 21時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
戦国娘(プロフ) - 本編を読んで過去編を読み始めたのですがとても面白かったです(^^)本編の更新も心待ちしていますので頑張って下さい！ (2017年1月17日 21時) (レス) id: 55fa96ba6a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月11日 20時
