１妖怪 別れと出会い ページ1
パラパラと小雨が屋根に当たり、奇妙な音色を奏でている。
以前の私ならこの音色と共に鼻歌でも歌っていただろうが、今の私は泣き声しかあげることが出来ない。
今日は、私を孤児院から引き取ってくれたお爺さんのお葬式。
こんな悲しい日に、雨なんて降って欲しくなかった。
悲しみのあまりわんわん泣いている私の後ろに近所のおばさん達の声が嫌でも私の耳に入ってくる。
「あの子、孤児院の子でしょう?」
「一体、この後どうするのかしら? 奥さんが面倒を見たらいかが?」
「えぇ!? 無理よ。家のローンだってあるんですから……」
「それに、あの子たまに何もない所に話しかけてるって聞くし……そんな変な子をあの大川って人はなんで孤児院から引き取ったのかしら?」
「そうよね〜。でもその大川さんも実際変な人だったし……」
泣いている私には聞こえていないと思っているのか、はたまた聞こえても構わないと思っているのかは知らないが、おばさん達の耳障りな声はさらに続けられていく。
私にもっと勇気があれば、お爺さんの悪口を言うあの人達に噛みついてでも報復してやるのだが、意気地なしの私には耳を塞いでこれ以上聞かないようにするしか出来なかった。
私の悪口ならいくら言っても構わない、でも……私の大好きなお爺さんの悪口を言わないでッ!
そう心の中で叫びながら耳を両手で塞いだまま顔を俯かせた。
その時、私の頭に大きな手が乗せられたと感じた瞬間、聞いたこともない声が頭上から降ってくる。
「この子は私たちが面倒を見ます」
声がする方へ顔を上げると、見たこともない男の人だった。
しかしよく顔を見ると、私を撫でるこの茶髪の男性は以前遠目だが見たことがある。
まだお爺さんが元気だった頃、二人仲良くお茶をしていたのを庭で遊んでいた幼い頃の私は遠目からだが見ていたのだ。
「で、でも……貴方この子と何の関係が?」
「私は生前大川さんと交流があった者です」
ニッコリと温和は笑みを浮かべる男の人に、目の前のおばさんはほんのりと頬を紅色に染める。
しかし、おばさんは何故かすぐに答えを出すことが出来ずにいるが子供である私には理解できずにいた。
「では貴方がこの子を引き取るんですか?」
「そっ、それは……!」
「でしたらごちゃごちゃ言わないでください。口先だけの心配や同情など、聞くだけで気分が悪くなります」
そう言い、私の手を引く男の人の後ろからおばさんのヒステリックな叫びが煩く響いた。
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長月シキカ(プロフ) - 戦国娘さん» コメントありがとうございます！戦国娘様のお言葉大変嬉しく思います！これから本編の更新も進めていけるよう精進致します^ ^ 本当にありがとうございました！ (2017年1月17日 21時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
戦国娘(プロフ) - 本編を読んで過去編を読み始めたのですがとても面白かったです(^^)本編の更新も心待ちしていますので頑張って下さい！ (2017年1月17日 21時) (レス) id: 55fa96ba6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月11日 20時
