優先順位は下の下の下で【及川徹】

精一杯 ページ46

「毎週火曜に病院に来てください。

どこか痛み、または体に異常が見られたらすぐに来てください」


『わかりました。ありがとうございました』





ぺこりと一礼して、タクシーに乗り込んだ





昨日の夜に退院の準備を済ませて

最後に看護師さんと話せたのが良かった







現時刻は10時前で木曜日。本当は勿論のこと、学校はある




途中から行くにしたら微妙な時間帯ではあるが、

休んだ分で遅れた勉強は取り返したい気持ちは少なからずあった





『すみません、一度私の家に寄ってから学校へ向かうことってできますか？』

「え？ああ、大丈夫ですよ」

『住所は______の________なんですけど』

「わかりました」






段差や整備されてない道にガタガタと車が揺れ、振動が足先から伝わってくる

『………………』







窓の外を眺めながらほーと市の景色を眺めた




ピコん。




陽気な音が鞄から鳴り、鞄から長方形の無機物を取り出す




『！徹……………？』



___________【心愛〜今日って遊べる？】







二度見すら、しなかった







追い討ちに追い討ち、そこからさらに追い討ち祭り

傷だらけでボロボロになっても、

神は盾のない私を矛で刺す








既読つかないから、ロック画面からの通知で良かったな

なんて心の中で徹に笑った









誤爆かよ。馬鹿みたい








てか、誰だよ。心愛

彼女？ああ……………彼女か










それより、もう一人の方の彼女が病気でさ、

それに連絡だってくれなくって

お見舞いだって来やしない






スマホをぎりり握り締めた






『………降ります』

「え？でも……ここ、海沿い…貴方の家まで遠いですよ」

『いいです。降ります』

「え、ああ」

『ありがとうございました。お金置いときますお釣りいりません』







五千円札をぶっきらぼうに座席において、

身勝手に扉を開け、地に足を着けば戸を閉めた











『この恋は、誰も悪くないはずだ…………』


潮風が鼻を啜った

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