story79 ページ33
赤司side
『何もついていない』そう言おうとしたであろう雪平は、大きな瞳をさらに見開いて、僕の後方を見つめる。
赤「雪平?」
雪「あ、かし・・・アレ・ ・ ・」
ゆっくりゆっくり腕を上げて、僕の後方を指差す雪平につられるように、僕は後ろを振り返る。
赤「・ ・ ・え?」
そこには、廊下の真ん中をだるそうに前かがみになって歩いてくる紫原の姿が…
はて、なぜ彼は雪平と同じメイド服なのだろうか・・・?
僕らに気づいた彼は、(彼にとっては)小さく手を挙げて、巨漢を揺らしながらこちらへ向かってくる。
―ペしっ
肩に手の当たる感触。
顔だけ後ろを振り返る。
雪「え、アレ、え…紫原だよな?なんでメイド服なの?え?」
今にも噴出しそうな雪平は、僕の肩を何度もペチペチと叩く。
触れられたところがジンジンと熱くなる。
なんだか嬉しそうな顔の雪平に、だらしなく緩んでいるであろう僕の顔は、鏡を見なくてもそれがわかる。
そんな僕の顔も後ろを振り返ればスッと表情が消えるだろう。
無意識に、ごく自然に・・・
紫「赤ちんに雪ちん、何してるの〜?」
雪「いや、お前こそ何やってんの?」
『ククッ』と口元に手を当てて小さく笑った雪平が紫原にたずねる。
紫「おれ?今休憩中だよ」
雪「おお、そうか。売れ行きはどうだ?」
紫「じゅんちょうだよ〜」
驚いたな…雪平はよくこんな格好の紫原と普通に話せる。
と、いうか、こんなところでのんきに立ち話していてもいいのだろうか?
紫原と楽しそうに話している雪平に妬けはするが、嬉しそうな雪平を見ると、会話を遮断するのが何かものすごくいたたまれないものに感じる。
かと言って、このままここでずっと談笑しているわけにもいかない。
どうしたものか・・・
雪「いや〜、それにしてもやっぱりシュールだよ、これだけの長身でメイド服とか…みんな脇に避けて…た・・・し・ ・ ・」
言葉が途切れ途切れになっていく雪平に、僕と紫原は顔を見合わせて首をかしげる。
赤「雪平?」
紫「雪ちん?」
シンクロした僕らの声を遮るように、雪平が大きな声で僕の名前を呼ぶ。
雪「赤司っ、いいこと思いついた!!」
嬉しそうな雪平の顔を見て、今日ほどいい日はこの先無いだろうとしみじみ思う。
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紫癸(プロフ) - 杏(黄瀬、黛ファン)さん» はい。続編よろしくお願いします^ ^ (2015年9月26日 17時) (レス) id: 87abf74f68 (このIDを非表示/違反報告)
杏(黄瀬、黛ファン) - いえいえ、厚かましくなんかないですよ…。では、また今度にでもボードに行かせてもらいます。┌(^р^┐)┐ では、此から続編読みに行くんで…。では、 (2015年9月25日 0時) (レス) id: 430fe28908 (このIDを非表示/違反報告)
紫癸(プロフ) - 杏(黄瀬、黛ファン)さん» いえいえ^ ^毎回暖かいコメントをありがとうございます。何だったらボードに来て頂ければ、有り難く返信させていただきます。私も沢山お話してみたいです…すみません、厚かましい事を言いました…。これからもどうぞ応援よろしくお願いします^ ^ (2015年9月22日 23時) (レス) id: 87abf74f68 (このIDを非表示/違反報告)
杏(黄瀬、黛ファン) - 追加。スミマセン本当に毎回書きたいことが多くて、でも文字数に限界があり。あ、それで書きたい事は「続編おめでとう御座います」と言う事です。本当にこの小説の赤司君大好きで私の書いてる赤司君とは違い赤司君の魅力が上手く引き出されてて…あ、また文字数が。では (2015年9月22日 21時) (レス) id: 36fa984ab5 (このIDを非表示/違反報告)
杏(黄瀬、黛ファン) - ども杏で御座います。読みました!本当に大好きです!特に文の書き方が!早く私も占ツクで小説書きたい。その願いはいつ叶うのやら。あ、スミマセンお久しぶりです。えっとあの((ryスミマセン…コミュ障なもので。まぁ気をとり直して更新頑張って下さい! (2015年9月22日 21時) (レス) id: 36fa984ab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫癸 | 作成日時:2014年12月5日 20時