輝く水平線

【連絡】8　☆ ページ8

「そうか。…実は今、Aのお見合いの話を進めているんだよ。」

「えっお見合い？！」

「まだ正式には決まっていないんだが、向こうも断らないだろうから、その心づもりでいなさい。」

「……。」

お見合いだなんて…。いきなりすぎてびっくりしてしまい前菜を食べる手が止まる。

でももう２５才だし、あり得ない話ではない。
この家は弟が継ぐから、私もちゃんとした家の人と結婚しなさいって小さい頃から言われてきた。

少し抵抗はあるけど、お父さまが進めてるってことは、ほぼ決定事項なのでは…。

「お父さま、ちなみに相手の方はどこのどなたなの？」

「お前もよく知ってる人だよ。」

よく知ってる人…？
誰かしら…まさか幼なじみのいっくん…。

「せめて年くらい教えてよ。」

「いくつかなぁ。３０手前くらいだったと記憶しているが…。」

「３０…。」

そんなのもうおじさんじゃない…。

「まぁ決まるまで楽しみに待ってなさい。」

前菜をぺろりと完食したお父さまとは対照的に、ちっとも箸が進まなくなった私。
でもおじさんに知り合いはいたかしら…。うーん、考えても思い浮かばないわ。

「名前は？それくらいならいいわよね。」

「じゃあ特別大ヒントだよ。下の名前は、結弦くんだ。」

「ゆずる…くん…。」

年上だからゆずるさん、かな。可愛らしい名前だけど、でもやっぱり思い当たる節がない。

きっとお父さまの勘違いで、私とは知り合いじゃないのね。でも年上なんて…性格的にマウントを取るタイプだったらどうしよう。

「ゆくゆくは結婚して欲しいが…。」

「結婚？！」

「彼が親戚になったら怖いものなしだよ。」

怖いものなし…。え、ひょっとしてプロレスラーとか？どうしよう、専門外だわ！

でも結婚かぁ…。正直まだ考えられないけど、お父さまの言うことには逆らえないし…。

「一応、考えておくね。」

プロレスラーのゆずるさん、か。
後で検索してみよう。





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