【指導】6 ★ ページ35
『もしもし。』
すると意外にもすぐに繋がって、年相応の太い声が耳に届く。
「あ、こんばんは。羽生です。連絡もらってたみたいで…。」
『あぁ、待っていたよ。』
こうして話すのも三度目か…とぼんやり考えていると、話は案の定、Aさんについての事でさらに気持ちが沈む。
次会う日時と場所。確かに会うと言ったのは自分だけど、正直今はそんな気になれない。
「あの、申し訳ないのですがその話、延期させてくれませんか。」
『なぜだね?』
「今ちょっと生徒を抱えてて。大会も近いのでこっちに集中したいんです。」
勿論これは嘘じゃない。小さな大会だけど、無名の選手にとっては大事な試合だ。
『うーむ…。』
「……。」
お店とか、いろいろ段取りしてくださってただろうか。
でも今Aさんに会うのはちょっと気が乗らない。
『…わかった。では3ヶ月後を目処に調整してくれるかな。』
3ヶ月後か…。それならショーとかで東京方面に行くかも。
シーズン前だし、色んな打ち合わせが入る時期だ。
「わかりました。」
『では娘に言付(ことづ)けでももらっておこうか。』
「え。」
那珂川常務が改まって言う。
言付け…つまり何か伝言を残せと…?
『延期となれば、さぞかしがっかりするだろう。』
「……。」
まずいぞ。これは雰囲気的に拒否権なしのやつだ。
つか、そんなこと言われてもAさんに伝えることなんて…。
あ、銀盤のアスカの続編はいつから…なんて聞けるかバカ。
『どうした。何もないのかい?』
さらに威圧的に押され、咄嗟に口から出たのはやっぱりアスカのこと。
「えっと…、こないだ教えてもらったア…いや、映画?スケートのやつ。とても面白かったって伝えてください。」
さすがにお父さんにアニメとは言えない。
まぁ面白かったのは本当だし、今度はその話でもしよう。
『わかったよ。』
すると常務が機嫌良さそうな口調になった。
よかった。…いや、いいのか?これ。
そうして通話を切り、ようやく緊張がとける。
「疲れるわ…もう。」
机に突っ伏したら一気に眠気が襲ってくる。
そうだ…昨日はほぼ寝てないんだった…。
あくびをしたら、そのまま夢の世界へ誘われてしまった。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 私のイメージは、結婚あまりうまくいかないような気が…。家族にはわがままっぽいから、きっと奥さんにも…^^;ファン第一に考えそう(笑)引退してもスケート中心で家庭をかえりみなさそう(笑) (2021年3月1日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ゆづが幸せなら私も嬉しいです。愛妻家でいてほしい!レディーファーストでいて、決断力がある頼りになる夫、というイメージです。 (2021年2月24日 21時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» なんか、さくっと終わらせるつもりが、長くなりそうな予感^^;10までには終わりたいけど…。寝不足に気を付けつつがんばります! (2021年2月24日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 美緒さん» ありがとうございます^^主人公に振り回されてくっつきそうな予感。まだ定まってません(笑)勝手なアンケートでは、国民の9割以上が彼の結婚を祝福できると答えたそう!羽生さん、安心して結婚していいんだよ!^^ (2021年2月24日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - フィギュアスケートのアニメに夢中なお嬢様をスケートでスパルタ指導してみる?頭打ったらまずいか。どうやってくっつくのかなぁ? (2021年2月21日 21時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2021年2月10日 16時