輝く水平線

【指導】7　☆ ページ36

☆主人公サイド

お仕事で忙しいお父さまから残念な連絡をもらったのは、部屋で銀盤のアスカの公式ファンブックを読んでいた時だった。

１ヶ月後だと思っていた羽生さんとの二度目の会食が、３ヶ月後に延期になったのだ。

「あーあ、羽生さんとしばらく会えないのかぁ〜。」

でも一つだけ嬉しかったのは、彼が銀盤のアスカを気に入ってくれたこと。
映画って言ってたけど、絶対アニメのことよね。

恥ずかしがって言い替えるところが、またキュンキュンしちゃう！

お見合いのあと、羽生さんについてあれこれ調べたら、最近の活動については謎な部分が多いようだった。

お父さまからの話では、生徒を教えることになったと言ってたから、また公になっていない情報なのだろう。

羽生さんがコーチかぁ。
まるで、リアル銀盤のアスカの世界だわ。

教え子って女の子かしら。いいなぁー、私もスケート習ってればよかった。

「見たいなぁ〜。羽生さんがコーチしてるところ…。」

ベッドに仰向けに寝転び、その姿を妄想する。

アスカのコーチは元スケート選手で、怪我で引退に追い込まれてアスカを指導することになったのだけど、練習中はちょうが付くほど鬼軍曹で、その厳しさったら半端ない。

でもリンクから出たらすごーく優しくて、その振り幅が乙女心をくすぐるイケメソキャラ…。

「あれ？どことなく羽生さんに似てる？」

いやいや、羽生さんが鬼軍曹なわけないわね。
きっと優しくて真面目で、手取り足取り教えてあげてるはず！

「想像するだけで萌えるー！」

枕を抱っこし身悶える。
イケメソで可愛いって何なの？！全人類のマスコット？？

とにかく補完したいわ！…そうだ、うちの博物館に展示出来るものなら、あらゆるコネと人脈を使って…！！

「痛っ！」

転げ回りすぎて壁にぶつかってしまった…。

「……。」

今ちょっと危ない人だったわ。反省。

「でも３ヶ月後っていったら、夏の特別展示後よね。」

一応博物館で働く身なので、世間が夏休みに入るとかえって繁盛期になる。

「よかった。その頃ならいつでも時間がとれそう。」

羽生さんとの予定は何より優先しなきゃ。

「燃えるぞー！！」

那珂川Aは今日もポジティブだった。






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