【門出】12 ☆ ページ26
「なんか俺、婿養子みたいだな。」
仙台の夜景が見下ろせるホテルの一室で、スーツを脱ぎながら羽生くんが呟く。
「花山結弦?」
「違うし。羽生結弦だし。あ、羽生Aさん。今日は1日どうでしたか。」
私の冗談に対抗したのか、わざとフルネームで呼ばれる。
ちなみに一ヶ月前の大安吉日に入籍をし、私たちは正真正銘、夫婦になった。
「そうですねー、暑かったし疲れたけど…羽生くんの白狐化も元通りになったし、家族に囲まれて幸せな1日だったよ。」
「ふふふ、俺もだなー。でもさでもさ、今となっては狐耳とかのおかげでスケートの視野も広がったし、あれはあれで悪くなかった気がするんだよね。」
ネクタイをするっと解いて、ワイシャツのボタンに手をかける。
「よく言うよ。最初に耳が生えたときはパニクってたくせに。」
「パニクってねーし。…あ、鞄からジャージ取って。」
会話しながらも次々と着替えを進める羽生くん。
私の前だというのに抵抗ないのかなと思いつつも、言われた通り鞄から出して近くのベッドに置く。
「はい、ここに置くね。ねぇ、あっちで着替えたら?」
それでも何となく目のやり場に困るのでバスルームを指差すのだけど…。
「は?なんで。別に見られたっていいし。」
本人からあっさりと却下される。
「羽生くんって迷いのない性格だよねー。」
「そっか?」
「まぁそこが頼もしいんだけど。」
引っ張ってくれそうでもある。
「でもあんまり世間のイメージ信用せんで?俺Aの前ではのんびりゆっくり生きたいの。」
脱いだ服をハンガーにかけ、片付けだした。
前は投げて寄越したのにかなりの進歩だ。
「私も。せっかく結婚したし。」
ともあれ、やっと一緒に暮らせるのだ。実家暮らしといえばそうだけと、二人きりの生活になんだかわくわくする。
「よし、綺麗になった。でも、耳も尻尾も消えて本当によかったよ。」
「そうだね。」
「俺、将来子供に遺伝したらどうしようかと思ってたからさー。」
「それはかなりファンタジーだね。」
部屋にある姿見に身体を映しつつ、ジャージに着替えた羽生くんがくるっと一回転する。
そして嬉しそうに、おっけ。と呟いてベッドサイドに腰かけた。
「Aは明日お仕事するの?」
「どうしようかなー。部屋ももう少し片付けたいし…。羽生くんは?」
明日は二人でゆっくりしたいなと思っていると…。
99人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - るりさん» そうなんです。くっついてしまうとなかなかハラハラドキドキがなくてお話がまったりしてしまうんです。果たしてどちらの方がいいのか悩むところですが…。^^;桃色は、どうやってそっち方向に繋げるか…難しいですね(笑) (2020年4月26日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - コロナで日常の有り難みを感じてます。元気でいるといいなぁ。何気ない新婚生活いいですね^ ^妄想万歳!桃色の方もまた読みたいです^ ^元気にしてるといいですね、、、!!移行楽しみです。 (2020年4月25日 15時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» ロス期ですね^^;妄想するしかないので、してますけど、面白く書けてるか心配。。。新しく書くほどネタもないので、どうしようかな〜 (2020年4月22日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - こんな時は散髪にも出掛けたくないんじゃないかな?と思うので、久しぶりにお母様が切ったかもと、勝手に思っています。報道ステーションのはだいぶカットされていたから、改めて動画見ました。ZEROでも見られたけど、録画しそびれました。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» いつも、髪は誰が切っているのかなと思ってますが、もうお母さんではなさそうな…。買い物とか大丈夫かなあ〜。心配はつきませんね^^;しかしニュースが羽生さんばかりでもう、スターやなって思いました! (2020年4月18日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2020年3月21日 20時