赤と黒のLiberations7

【スケートカナダ】7　☆ ページ7

今日は土曜日で、女子のショートの後が男子の放送だ。
そんな羽生くんの演技は圧巻というか何と言うか…。

「このアクセル満点なんだよ！」

やっぱり大きな画面は違うねー。と、まどかがご満悦で羽生くんの演技を説明してくれる。
やっぱり一度見てるから自然と解説者側になってしまうのだ。

少しコンビネーションジャンプでふらつきはあったものの、結果は１００点を超える今季世界最高得点。
キスクラでの本人もにこにこしている。

「すごい…。」

「でもステップがレベル３だったんだよねー。」

「え、あんなに感情豊かだったのに？」

「なんかちっちゃい穴に躓いちゃったみたい。」

「そうなの？！」

そんなの全く分からなかった。
ひょっとして、尻尾が纏わりついたとか、髭が視界に入って邪魔だったとかじゃないよね。

「衣装もほんのちょっとマイナーチェンジだしね。」

「そうなんだ。」

どうりでお腹回りがすっきりしてた。
最後、少し脇の辺りを気にしてたのは、糸がつったのかな。とにかく、何をしても絵になる男だ。

「でもさぁ、この羽生くんの頬っぺた。何か付いてない？」

「えっ。」

不意にまどかが、インタビューを受けている羽生くんを前のめりで凝視する。
頬っぺた？！そこは狐のお髭が生えている場所だ。まさかまどかにも見えるのだろうかと不安に思っていると…。

「なんか黒く汚れてるみたいな…。」

「黒く…。」

どういうことだろう。言われるがまま、よくよく目を凝らして見ると、羽生くんのお髭の部分がススみたいなもので黒く汚れたようになっていた。

「羽生くんはノーメイクだから、アイカラーとかのお化粧じゃないと思うんだけどなぁ。」

「……。」

まどかが腕を組んで首をかしげる。

なんだ、びっくりしたぁ…。
なぜ黒いのかは分からないけど、ついに羽生くんの白狐化が万人にも見えるようになったのかと思っちゃった。





.

【スケートカナダ】8　★→←【スケートカナダ】6　☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す