【スケートカナダ】12 ☆ ページ12
ここはお見合いを少し前向きに捉えて、将来に向けて少しずつでも羽生くんと距離をとった方が…。
『ピピピ…。』
「……?」
そんな後ろ向きなことを考えていると、不意に枕元に置いた携帯が鳴った。
相手を確認すると、当然のごとくそれは私の彼氏である羽生くんで…。
気にしてかけてきてくれたのかな。
さっきまでの沈んだ雰囲気はどこへやら。私はいそいそと回線を繋いだ。
「もしもし…?」
『こんばんは。』
「こんばんは…えと…。」
『お見合いの日、決まったんだ。』
「うん…。」
いきなり耳に届く真っ直ぐな彼の声。
そんな、クリスタルのように燐とした口調で本題に入られて、返事に戸惑う。
『午後ならエキシの最中くらいかな。』
「…そうかな。」
『そっか…。』
「……。」
『……。』
最後だけ、いつもとは少し違う呟くような声になって。
なんとなくここで会話が途切れてしまったので、とりあえず今日の試合を労うついでに、直接おめでとうを言っておこうと、携帯を持ち変える。
「あ、試合お疲れさま。優勝おめでとう。」
『なんだよ、その思い出した感満載の言い方。』
「え。だってさっきメッセージで送ったから…。」
なんだか突っかかる言い方だなと思いつつ、萎縮したような受け答えになってしまう。
『送ったから?』
「ついでに直接言おうかなっていうか…。」
『ついで!俺の優勝をついで!!』
「そういう意味じゃなくて…もぅ、そんな大きな声出さないでよ。」
まるでいつも羽生くんのことを一番に考えなきゃいけないような口ぶりだ。
『Aがあまりにデリカシー無さすぎだから。』
「それってお見合いのこと?日が決まったら連絡しろって言ったの羽生くんでしょ?」
『そうだけど、もうちょい書き方あるだろ。』
書き方なんて…。普通に用件だけを伝えた事務的なものなのに。
こんなのまるで言いがかりだ。
「普通だよ!羽生くんこそもうちょっと優しく言えないの。」
『なんで彼女が他の男とお見合いすんのに優しくなれるんだよ。』
「……。」
『……。』
そんな中、正論で返されて言葉を失う。
そうだよ…羽生くんはいつもこうやって私を論破する。
まるで黒い翼で周りを囲って、逃げ場を無くしていくように。
「したくてする訳じゃないし…。」
それでも、精一杯負けないように虚勢を張りつつ無駄な抵抗をするのだが…。
138人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - ミズイハナコさん» よろしくお願いします! (2019年11月25日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» N杯フリーめっちゃ緊張しました!屈んだまま動いてるし!^^今回のN杯は結構ターニングポイントなので、じっくりたくさん書きたいので、ファイナルの日程に被らないようにがんばります^^その後はちょっと考えて。さすがに3週間更新ないとかねえ…だめですよね? (2019年11月25日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» インフルのくだり、訂正しました^^私もHDDの容量がやばくて、3年前のN杯とか整理しました。今回も色々録画したけど、結局ネットで見れるので、いつになることやら。EXはてっきりプリンスかと思ってましたけど、春でしたね!そっかそっか。春か〜^^ (2019年11月25日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
ミズイハナコ(プロフ) - 楽しみにしてます! (2019年11月25日 15時) (レス) id: 999282a715 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 続き気になります!!2人は会えるのかなぁ、、、(><)やっぱり羽生君は唯一無二で特別すぎる存在ですねー。ファイナルはどうなるか、心臓痛いですね笑 (2019年11月25日 7時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2019年10月31日 16時