【雨宿り】7 ☆ ページ19
「じゃあね。その飴たべてね!」
「あ、ちょっと…!」
私が右手を伸ばしても、女の子は立ち止まらず、ついには扉を開けて外へ出て行ってしまった。
そんな女の子の去ってゆく後ろ姿を見ながらふと気づく。
「あの子、下駄だったの…。」
浴衣だったら当然か…でもやけに古びたタイプのものだったような…?
しかも裏山の方へ走って行ったけど、あっちに家なんてあったかな…。
「変なの。」
おかしいなと思いつつも、ひとまず戸締まりをする。
さぁ、次は羽生くんだ。
本当にそろそろ送って行かないと、またいつどしゃ降りになるか分からないし、そんな中運転するのは怖い。
それを伝えるために和室へと戻ったら、羽生くんの頭の位置がさっきより低くなっていて、机に突っ伏すほどに下がっていた。
心なしか、狐耳もだらんと下を向いている。
「羽生くん?」
眠いのかな。でもこんな所で寝たら風邪をひいてしまうので、私は側まで駆け寄り、その身体を起こそうと彼にそっと触れるのだが…。
「えっ?!」
熱い…。
もしやと思い、今度はおでこに手をあてると…。
「熱がある…!」
私は慌てて手を引っ込める。
大変だ!
ひとまず羽生くんを寝かせるため、すぐに布団を準備して、カルタをしていた和室に敷いた。
「喉…痛ぇ…。」
「羽生くん、ここに寝て。」
「だりぃ…頭も…。」
目を閉じたままの彼をなんとか引きずって、1メートル程の距離を移動させる。
そしてほとんど倒れこむように布団へと崩れ落ちた羽生くんにお布団をかけて、出来るだけ優しく告げた。
「お医者さんいく?それとも、解熱剤持ってこようか。」
「いい…大丈夫…だから。」
「大丈夫じゃないでしょ。」
とにかく薬だ。
私は解熱剤を取りに行くために、羽生くんを残して母屋へと向かった。
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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ!はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう!^^ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら?CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも^^思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう?お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い! (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました!(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか? (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年8月7日 17時