赤と黒のLiberations2

【Ｔシャツ】9　★ ページ9

「でもコウくん、あちこちで羽生くんのこと言いふらしてないか心配だなぁ。」

「俺が神社にいたこと？」

「うん…。せっかく羽生くんがゆっくり落ち着ける場所なのに、ご実家みたいに人が押し寄せたらがっかりしない？…あ、うちはいいんだよ。お客さん増えるだけだから。」

あれ？花山さん、さっきと言ってることが違うな。

「お客さんが多ければいいってもんじゃないって言ってなかった？」

日本での居場所がホテルしかなくなってるのは否めないけど、絶対に実家へ帰れないわけではない。

「あれはコウくんが余計なこと言うから。羽生くんを利用してお客を増やそうだなんて、一番許せない。」

恥を知れ！よ。とコウくんに対してはめちゃめちゃ厳しいな、花山さん。

…でも、本当の友達ってこういう関係なんだろうな。
お互いのことを知り尽くしているからこそ、何でも言い合える。

俺とハビみたいな関係だろうか。
何にせよ、ハビみたいな女の子がいたら俺は迷わず付き合うわ。

「２４才か…。」

「え、何？急に年なんか。」

「いや、そこそこ年取ったなーって思って。」

遠い昔から思い描いていた人生設計では、そろそろ次のステップに進む時期だ。
とはいえ、来シーズンが終わったら、何をどうするのかまだ全く考えていない。

現役続行か引退か。
そもそも、習得すべきジャンプがまだあるから、結局のところ今やるべきことをするしかないのだけど。

「まだ２４才じゃない。」

「もう２４才だよ。」

「生き急ぐね〜。そんなんだから九尾に狙われちゃったんだね〜。」

「うるせぇ。」

せっかく今忘れていたのに。

もう先のことを考えるのはやめた。今日は家族でゆっくりして、命の洗濯をしよう。

「ここ右かな〜…げ、間違えた！」

「はぁ？！んもー、お前ちゃんとナビの言うこと聞けよ！そして理解しろ。」

どうやら曲がる一本道を間違えたようだ。

幸せな実家への道がさらに遠くなってしまった。





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