【夢の世界】2 ☆ ページ13
「もしもし?」
『あ、花山さん?久しぶり。』
ふふ。と含み笑いが聞こえてきそうな、数週間ぶりのご機嫌な羽生くんの声だ。
「久しぶり…。えと、今日本にいるんだよね。」
『うん、ごめんね。連絡できなかった。』
「それはいいけど…。あ、今ね…!」
私はまず、たった今この電話で話している人と同じ相手から手紙が届いたことを伝えた。
『あ、着いたんだ。中身見た?』
「見たけど…これ何なの。」
『仙台のショーのチケット。』
「え。」
この紙切れが?!
チケットってもっとカラフルなのかと思っていた。
『やっぱショーの間は忙しすぎて身動きとれねーの。お守りを持ってきてもらうついでに、せっかくだからショー見てよ。』
「そんな…悪いよ。」
ショーのチケットが高価なのは、まどかから聞いていたので知っているつもりだ。
さすがにもらえないなと思っていると…。
『良い席期待しないでな。チケットはもう売り切れてるから、天井席だし。』
「天井席?」
『三階席のさらに上。しかも見切れ席。』
あ、そうなんだ。
「でもなぁ…。」
『お守りと先日泊めてもらったお礼だから。お前気にしすぎだよ?』
私が言い籠っていると、スピーカーの向こうからからからと笑う声がした。
もらってもいいのかなと思いつつ、もう一度送られたチケットを手に取る。
「…これ日曜日のなんだ。」
『仙台の楽公演。終わった後連絡すっからさ、指定した場所までお守り持ってきて。』
なるほど。
終了時間が4時半だから、夜までには家に帰れる。
「わかった。」
『あ、今からリハーサルだわ。じゃあまた!』
そう言って一方的に通話を切ってしまった。
「慌ただしいなぁ〜。」
多忙なんだな、スケーターって。
それにしてもショーなんて生まれて初めてだ。
あまり出かけたりする方じゃないから、どんなものなのか想像もつかない。
「羽生くん、歌ったりもするのかな…。」
まぁいいや、当日を楽しみにしておこう。
さて、掃除を再開しようと羽生くんからの手紙をポケットに入れて、後のをまとめて邪魔にならないところに置いておく。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時