赤と黒のLiberations2

【九尾退治】8　☆ ページ41

「プレゼントか…まぁいっか。」

羽生くんが立ち上がってフロントに繋がる電話まで行く。そしてメニューをぺらぺらとめくって、すぐに番号を押した。

「あ、私サンドイッチ。」

「サンドイッチ？しょーがねぇな。」

「お金は払うから。」

「いいし。…あ、すみません。サンドイッチ１つお願いします。」

そう慣れた感じで注文を通す。
…ん？１つ？

変だなと思いつつも、羽生くんはさっさと受話器をもとに戻した。

「羽生くんは食べないの？」

「喰うよ。」

え？

「じゃあ２つじゃない？」

１つなんて、大人二人が食べるにしては足りないのでは？

「はぁ？なんで一人で泊まってんのに２つ頼むんだよ。人を連れ込んでるのがバレたら俺のイメージが悪いだろ。」

私を振り返りもせずに言い放つ。
理屈はそうだけど、現に今。私はとてもお腹がすいているのに！

「ちょっと。空腹に羽生くんのイメージは関係ないでしょ！」

「いいや。どこにいても常に羽生結弦は潔白でなきゃなんねぇの。」

「そんなぁ！せめて大盛りに…。」

「やだね。俺は少食だ。」

「……。」

こ、この人…国宝級のすっごいわがまま男なのでは…。

「セットの飲み物は百歩譲って花山さんにやるよ。」

コーヒー嫌いだし。と完全に親切心の欠片もない施しを受ける。

「羽生くんて…テレビと全然違う。」

「そんなことねぇし。あ、ルームサービスが来たらどっかに隠れてな。女の子と一緒にいるの見られんのやだから。」

「はいはい…。」

さっきまでの落ち込みっぷりはどこへ行ったのか。
ドＳ全開の羽生くんに、引きまくりの私だった。






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