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【困惑】6 ☆ ページ6

『羽生選手が今会場に到着しました。』

今度はジャージ姿で、髪をオールバックにした羽生くんがテレビに写し出される。

「きゃー素敵!でこ出しよ!A〜。」

年甲斐もなくきゃっきゃとはしゃぐお母さんを横目に、なんとなくテレビのボリュームを上げる。

するとその時、キッと前を見据えて何かを口ずさみながら、たくさんの人を連れて歩いている彼の側を、ふと人ではない何かが横切ったのを私は見逃さなかった。

九尾の狐だ…!!

がたんとテーブルに手をつき、前のめりになる。
今確かに、九つの尻尾を持った真っ白な狐が、羽生くんの身体に入っていった。

「どうしたの?A。」

「え、いやその…。」

私がいきなり立ち上がったものだから、お母さんに不審がられてしまった。

でも嘘でしょ…。まさか、あんなすごい妖怪が取り憑いているなんて…。

「変な子ねぇ。」

お母さんが再びテレビに視線を向ける。

こうしちゃいられない。
私は食べ終えた食器を片付けて、大きなテレビのあるリビングへダッシュする。
ここのテレビでは小さすぎて、細部までよく視えないからだ。

もちろんリビングでは、まどかがテレビの前に陣取っているのだが、構うことなく割り込んだ。

「まどか!」

「んもー、お姉ちゃんうるさいなぁ。テレビが聞こえないでしょ。」

そして妹の隣に強引に座って、一挙一動を逃さないよう、画面を食い入るように見つめる。

「ちょっと羽生くん見せてよ。」

「お、お姉ちゃんもようやく羽生くんの良さに気付いたの?」

「ばか、そんなんじゃないわよ。」

ただ、心配なだけだ。
国民栄誉賞を貰えるほどのスポーツ選手が、九尾の狐に取り憑かれているなんて、これは百害あって一利なし。
出来ることなら、すぐにでもなんとかしてあげないといけない!

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鹿(プロフ) - 雪菜さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです。怖い話は苦手です^^;今回は心霊とは違うのですが、和風っぽくしたいなと思ってます!^^ (2019年6月17日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - おはようございます、新しい話も面白いです!私は昔から心霊とかそういった話が好きです。本当にあった怖い話という ものがあります。そのなかでも山本まゆりさんの恐怖進行刑(ショックリポート)です面白いので読んで見てください (2019年6月16日 9時) (レス) id: 67e9c24f43 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» 毒ガスが噴き出ているところでしょうか^^調べているときに見たような。あまり九尾ネタが広がらなかったらごめんなさい!今回は短めのお話にしようかなーと、更新早めを目指してます! (2019年6月15日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 新作!ありがとうございます。栃木県の那須塩原市に殺傷石と言う所があって、九尾の狐伝説があります。宜しければご参考まで。また楽しみに読ませて頂きます。 (2019年6月14日 21時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 私も調べてみたら、晴明と繋がっていることがわかって、これなら書けるかなーと^^神事とかはもう適当でねつ造ばかりなので、突っ込まないでくださいね〜! (2019年6月14日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月10日 16時

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