【わかるでしょ。】4 ★ ページ41
★羽生サイド
時差ボケなのか、道中全く眠くならずに花山さんの自宅である神社に到着した。
こんな夜中に申し訳ないのは重々承知しているのだけど、早くあの拝殿の御神体にご挨拶したくて、わがままを言ったのだ。
はやる気持ちを抑えつつ、車の荷物はそのままにして、花山さんより先に拝殿へと向かう。
「家族は寝てるから走らないでね。」
「うん。」
そう言われたものの、砂利を歩く音は闇夜によく響く。
難しいなと、ぎこちなく歩いていると、後ろにいる花山さんに笑われた。
「普通でいいよ。」
「だってさ〜、うるさいからご家族が起きちゃうじゃん。」
「これくらいじゃ母屋までは聞こえないでしょー。」
気を使いすぎだと言われながらも、最後まで自分のやり方を通して拝殿の入り口までたどり着いた。
我ながら頑固だ。
「早く開けてよ。」
「開いてるよ。」
そうなのか。
開けていいよ。と言われたので、お言葉に甘えてそっと扉を横に引く。
がらがらと滑る音を耳にしつつ、隙間からそっと中を覗くと、暗闇の中にぼんやりと御神体が見えた。
「……。」
「待ってね、今明かりをつけるから。」
花山さんもまた拝殿に来て、雰囲気のある間接照明のみをつけてくれたので、照らされた御神体がさらにその荘厳さを増す。
すげぇ…。
見た目もそうだけど、この、何かにじっと見つめられているような感覚が、たまらなく俺の五感を刺激する。
他の神社にはない雰囲気、空気感、匂い。ひょっとしたら場所や距離までもが、絶妙に関係しているのかもしれない。
「また、来れてよかったわ…。」
満たされてゆく心は、嫌なことを何もかも忘れさせてくれた。
拝殿で花山さんとお参りを終えた後、用意しておいたおみやげを渡すのを忘れていて、再び二人で車へと戻る。
まぁこのまま次の目的地である実家へいくのだが、これだけは渡しておかないと。
「わざわざよかったのに。」
「いや、前回は思い立っていきなり来たから、おみやげを用意してなかったんだよ。えっと、どこにしまったかな…。」
かばんの中をごそごそ探していると、不意にポケットに入れていた携帯が鳴った。
「羽生くん、着信…。」
俺がなかなか携帯に出ないから、花山さんが声をかけてくれるのだけど、今はおみやげを探したい気分なのだ。
「待って待って…あ、あった!」
おみやげを手に、ようやく携帯を取り出して相手を確認する。
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鹿(プロフ) - 雪菜さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです。怖い話は苦手です^^;今回は心霊とは違うのですが、和風っぽくしたいなと思ってます!^^ (2019年6月17日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - おはようございます、新しい話も面白いです!私は昔から心霊とかそういった話が好きです。本当にあった怖い話という ものがあります。そのなかでも山本まゆりさんの恐怖進行刑(ショックリポート)です面白いので読んで見てください (2019年6月16日 9時) (レス) id: 67e9c24f43 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» 毒ガスが噴き出ているところでしょうか^^調べているときに見たような。あまり九尾ネタが広がらなかったらごめんなさい!今回は短めのお話にしようかなーと、更新早めを目指してます! (2019年6月15日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 新作!ありがとうございます。栃木県の那須塩原市に殺傷石と言う所があって、九尾の狐伝説があります。宜しければご参考まで。また楽しみに読ませて頂きます。 (2019年6月14日 21時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 私も調べてみたら、晴明と繋がっていることがわかって、これなら書けるかなーと^^神事とかはもう適当でねつ造ばかりなので、突っ込まないでくださいね〜! (2019年6月14日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月10日 16時