氷の国21

【眠りの国】3　★ ページ45

眠りの国は氷の国と比べて、少し都会っぽい風景が多い。
お城に関しても、所々金色のモチーフが施されていて、見ていて派手さを感じるのだが、こういう趣味も嫌味過ぎず、均衡がとれていて素晴らしい。

今、俺たち三人は、会談の場所である宮殿に向かう馬車の中で、あれこれ最終確認の真っ最中。
何度も資料を読んでは、本番に備えている。

「ラファ皇太子の娘さんが昌磨の結婚相手なんだよね。」

「今回の縁談は自由の国からの提案だったようですね。眠りの国の産業である、馬車の部品などのルートを確保したかったのでしょう。」

まっちーと話す中で、なるほどなと思う。
眠りの国製の馬車はとても人気で、性能も高いから安く手に入れたいのはみんな同じだ。

「たくさん買ってくれるのなら、眠りの国だって嬉しいよね。」

「正規の金額で取引するには、結婚が条件だったようです。」

「強気だね。自由の国はやたら値を下げろって言うからなぁ〜。」

値段に関しては、その名の通り、自由すぎる金額を提示してくることで有名だったっけ。

「ちなみにこちらに来てから、ご結婚相手のことについて新たな情報が判明しました。」

「え、何？」

「１０才年上ではなく、１５才年上だったようです。」

「嘘！」

まじか…。
結婚さえ出来れば平気で嘘をつくのか…自由の国は。

「それもう、完全にジェネレーションギャップだね。」

「年齢どうこうより、話が合わなさそうだな…。」

佳菜と顔を見合わせる。
幼さが残る昌磨にとって、１５才差は山より高い壁だろう。
俺Aとあまり年が変わらなくてよかったぁ…。

「今Aのこと考えたでしょ。」

ほっと胸を撫で下ろしていると、佳菜がにやにやしながら俺を肘で小突いた。

「まともな大臣でよかった…。」

冷や汗をかきつつ、もしも自分の側室が１５才年上だったらと想像すると、もはやそれは母のような…いや、ファンだと思えば可能性はゼロじゃないか…。

「何真面目な顔してんの。」

妄想しすぎ！と肩パンチをくらう。

「好みは人それぞれだしな…。」

とにかく一概に否定したら相手に失礼だ。

「とにかく、これから作戦実行にあたってくれぐれも三国の関係が悪化することのないよう、心がけましょう。」

まっちーの一言に、馬車内が一気に緊張感に包まれた。






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