氷の国19

【みんなのゆづ】5　★ ページ38

『あ、ゆづ今の気持ちいい〜…。』

「ここ？」

頬っぺたの辺りを爪で優しく掻いてあげると、思いのほかフェイが喜んだので、ついでに片方の手で頭もなでなでしてみると…。

『絶妙な力加減〜。』

「ふふ、じゃあ今度はこことかどうかな？」

良い反応が返ってきたので、今度は羽の付け根をこちょこちょとこそばしてみると…。

『あっはっ、ダメだよぉ〜…。』

「あはは。弱点見つけたわ〜。」


“……”


二人でじゃれていると、いつの間にかニジンスキーが側まで来ていて、俺たちをガン見していた。

「あ、ニジンスキーにもしてやろっか。」

そっとフェイを膝に置きつつ椅子に座り直す。
ニジンスキーはフェイと違って顔が完全に人間だから、羽とかいじってやろうかなと、ちょいちょいと手招きしてみると…。


“あまり痛くするなよ…”


なんと自ら俺の手のひらに乗ってきた！

「おっ、素直じゃん。」

くるっと後ろ向きにして、毛並みを整える要領で羽を一枚一枚丁寧に撫でると、気持ち良さそうに深呼吸する。

『いいな〜、僕も次羽やってよ〜。』

「待って待って、順番な。」

ニジンスキーも今はミニサイズだし、悪いのは態度と口だけで根はかわいい奴なのかもと思いつつ、撫で撫でする。

つかこのシチュエーション…。
シロは足元でくつろいでいて、フェイは今膝の上。ニジンスキーの羽繕いはだんだん楽しくなってくるし、おまけに暖かな春の陽気のおかげで、とても気分が良い。


“上手いな…”


しかもニジンスキーからお褒めの言葉をいただいてしまった！

「みんなで仲良くして？三人とも俺のかわいいしもべなんだから。あ、ちなみに次ここにある洋梨食ったら二度としてやんないから。」


“……”


覚えといて。と、飴と鞭を使い分けるかのごとく伝えると、ニジンスキーが、譲歩する…と小さく呟いた。
ま、今日はこれくらいにしといてやろう。

でも今まで生き物なんて飼ったことなかったけど、こんなに癒されるものなんだなと、新しい世界を体験した気分になった。





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