【これから】3 ☆ ページ18
「……。」
「何?まっちー、早く言ってよ。」
そんなまっちーさんをゆづ王子が急かす。一体どうしたのだろうか…。
「王子、お話の前に伺いたい別件があるのですが…。」
よろしいですか?と真剣な眼差しをゆづ王子に向ける。
「え、何?ちょー怖いんだけど。」
そう言いながらも、胸に手をあてながら機嫌良く笑っている王子さま。するとまっちーさんがおもむろにその手を取った。
突然のことに驚いた王子さまが、わっ!と声を上げる。
「失礼します。」
そして素早い動きでそのまま袖をまくって…。
「ちょ…。」
「王子をお運びするときにちらっと見えたのですが…。この腕の穴は何ですかね。」
そう言ってまっちーさんが指差した箇所には、小さな二つの穴。
その腕の内側の塞がりつつある穴は、まるで何かに噛みつかれたような…。
「あ!」
慌てて隠そうとするのだけど、まっちーさんによってしっかりテーブルに固定された腕は、ゆづ王子の力をもってもびくともしない。
「昨日、魔女の屋敷の周辺で、妙にコウモリがうろうろしていましたね。あげくのはてにAさまの肩に落ちてきて…。」
「へ?!」
森であったことだ!…まさかしっかり見られてたなんて…。
「温室に旧友の方であるバンパイアが住みついていることは知っていますが、まさか王子。彼に血を与えておられるのではないでしょうね…?」
腕を押さえたまま、まっちーさんの目が鋭く光る。
まさかこれをたったあれだけの情報で推測したのだろうか…。
「な、何言ってんの〜。そ、そんなことあるわけないじゃん〜!」
当然否定するゆづ王子なのだけど、私としては、ここまで言われたらもう色々無理なのでは…と苦笑いするしかない。
「おまけに首の後ろの紋章も気になりますね。昔本で見たことがある模様にそっくりです。確か…そう、狐族の婚姻の証のような…。」
「……。」
さらにまっちーさんから指摘される秘密の数々に、私とゆづ王子が無言になる。
「王子、隠していることを全てお話ください。話はそれからです。」
まっちーさんからの最後通告にも似た言葉を聞いて、なんとなく横目でゆづ王子を見ると、さすがに覚悟を決められたのか、がくりと項垂れた。
「まっちー…。」
「はい。」
「…怒んない?」
「内容によりますね。」
そう言って、いたずらを告白する少年のような王子さまの腕を、ようやく解放したのだった。
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鹿(プロフ) - 智枝さん» ありがとうございます!!!!私はほぼ毎日よその小説を読み漁っているので、普通はたまに読むものなんですね〜。妄想は^^しかし全部のチケットを持っているとは…。おぬし何者!?私はFaoi参戦だから! (2019年2月15日 19時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
智枝 - 超絶久しぶりに来たああああ!進みすぎて追い付くまで時間が必要だぜ。お話の感想は読んでからしやす(笑)とりま、明日のせせん公式練習のチケ取りがんばる!ちなみにせせんはオールイベントチケで全日観戦しやすv(^ω^)v (2019年2月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» けんかじゃないので、すぐに元通りになりそうですね^^はやく来季の試合を書かねばならないのですが、まだそこまでたどり着かないという…。四大陸の結果もちらほら入ってますね!みんながんばー! (2019年2月8日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 王子の感情は羽に現れるのですね。王女にはバレバレ。視察が終わったら、もう帰りの馬車で仲直りできそうな気がしますが、どうでしょうか?明日から四大陸選手権。女子たち頑張れ!あと、友野くんに期待です。刑事くんも自分に負けるな!昌磨は強気で優勝だ! (2019年2月8日 1時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そうですね!行ったり来たりしてもらいます!前回は羽生さんがペットを飼ったらこんな感じかなあ〜って書きました^^けっこうドSに攻めそうじゃないですか?着々と主従関係ができてます! (2019年2月4日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年1月5日 13時