【これから】2 ☆ ページ17
「ゆづ王子…。」
「あ、Aも来てたの。」
王子さまが来られたということは、三人でお話するのかな。
黒い上下を身につけたゆづ王子が、少し雑に椅子を引いて私の隣に座る。
背中には私にしか見えない黒い羽を従えているので、今日の王子さまはいつもに増して真っ黒黒だ。
「もう起きて大丈夫なんですか。」
「うん。いつまでも寝てらんないしね。今日からもう部屋に戻っていいって。」
ゆづ王子がにこにこと、とても嬉しそうに教えてくれる。
良く見ると、羽は今、医務室で見たときより小さく折り畳まれていて、かなり自由自在に操れるものなんだなとゆづ王子の適応力に感心する。
…でも良かった。このところずっと医務室で過ごされていたので、あの広いお部屋に一人でいるのが少し寂しかった。
また一緒にいられるんだという嬉しさに、思わず頬がゆるむ。
「ではまず王子さま。」
そんな幸せに浸っていると、まっちーさんが職務としてこの場を仕切り始めた。
「はーい。」
「この度は、側室さまのご懐妊、まことにおめでとうございます。」
そう言って、座ったままとても丁寧に会釈してくれる。
「ありがと。」
ふふ。と私を向いて得意気に笑ってくれる王子さま。
その吸い込まれそうな笑顔にめろめろになりそうになるのを我慢しつつ、私もお礼の意味を込めて少し頭を下げる。
「静香さんや大臣と協議した結果、国民に知らせるのはもう少し時が経ってからということになりました。」
「え、そうなの。」
ゆづ王子が少しつまらなさそうに答えるのだけど、それはきっと、まだ安定期に入ってないからだろう。
国民をぬか喜びされたら悪いし、ここはまっちーさんの言うとおりにすべきだと私自身も思う。
「ゆづ王子、お腹の皇子がしっかりと育ってからということですから。」
私がご説明すると、ふとゆづ王子が羽をふわりと動かした。
少し不満そうに、しなっと垂れているのを見ると、まるでゆづ王子の感情がそのまま羽に表れているようで不思議な気持ちになる。
「大丈夫なのに…。」
机に手をついて呟くゆづ王子。
きっとニジンスキーさんが見守っているからという自信があるからだろうけど、さすがにそれをまっちーさんに説明するわけにはいかないので、ここは大人しく国の方針に従った方がいいだろう。
「では本題に入りますが、その前に…。」
不意にまっちーさんが手元の資料を開こうとして…閉じた。
そして、口元に拳をあてて、何か考えている。
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鹿(プロフ) - 智枝さん» ありがとうございます!!!!私はほぼ毎日よその小説を読み漁っているので、普通はたまに読むものなんですね〜。妄想は^^しかし全部のチケットを持っているとは…。おぬし何者!?私はFaoi参戦だから! (2019年2月15日 19時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
智枝 - 超絶久しぶりに来たああああ!進みすぎて追い付くまで時間が必要だぜ。お話の感想は読んでからしやす(笑)とりま、明日のせせん公式練習のチケ取りがんばる!ちなみにせせんはオールイベントチケで全日観戦しやすv(^ω^)v (2019年2月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» けんかじゃないので、すぐに元通りになりそうですね^^はやく来季の試合を書かねばならないのですが、まだそこまでたどり着かないという…。四大陸の結果もちらほら入ってますね!みんながんばー! (2019年2月8日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 王子の感情は羽に現れるのですね。王女にはバレバレ。視察が終わったら、もう帰りの馬車で仲直りできそうな気がしますが、どうでしょうか?明日から四大陸選手権。女子たち頑張れ!あと、友野くんに期待です。刑事くんも自分に負けるな!昌磨は強気で優勝だ! (2019年2月8日 1時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そうですね!行ったり来たりしてもらいます!前回は羽生さんがペットを飼ったらこんな感じかなあ〜って書きました^^けっこうドSに攻めそうじゃないですか?着々と主従関係ができてます! (2019年2月4日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年1月5日 13時