氷の国14

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★ゆづサイド

次の日。まっちーに頼んでしーちゃんの健康診断を前倒しにしてもらった俺は、なんとか午前の仕事をマッハで終えて医務室に来ていた。

一応コウノトリとのやり取りについては、誰にも言っていないし言うつもりもないけど、今の自分に出来ることといったら、体調面を管理することくらいだから。

「うーん…。」

向かい合って。しーちゃんが俺の脈を取りながら渋い表情をする。

「どっか悪いとこあんの…？俺。」

まさか重大な病気なのでは…。と恐る恐る尋ねると、しーちゃんがぱっと笑顔になった。

「いや、今現在特に心配するようなことはなさそうだね。」

脈も正常だし。と俺から離れて机の上で何かを書き込む隣で、ほっと胸を撫で下ろす。
そうなんだ、よかった…。

「とりあえず自覚症状はなんもないんだけど、ちょっと気になって。」

身なりを整えつつ、さっきまでの不安とは真逆の安堵感に包まれる。

安心したぁ…。だけど、病気じゃないとすると一体コウノトリは俺に何を伝えたかったのだろうか。
国が途絶えるとか、まじで冗談きついわ。

「ま、ある日突然症状が出ることもあるからね。ゆづは風邪をひきやすいんだから。」

ひとまず今日はもういいよ。と言われて、しーちゃんがカルテを閉じていつもの棚にしまったら、もう自由の身。
これで今回の定期検診はおしまいのようだ。

「うん。あーこれで気分すっきり来季の準備が出来るわ〜。」

背伸びをしながら、早速スケートモードに頭を切り替える。

午後からはまっちーにリンクを使っていいって言われてるし、久しぶりに思い切り滑りたかったのだ。

「次は１ヶ月後にね。」

「はーい。」

しーちゃんに、またね。と挨拶して、足取り軽く医務室を出る。

ま、こうやって定期的に診てもらってたら大丈夫かも。今すぐどうこうはなさそうかな。

さて、そろそろジョニーにも一度お城へ来てもらわなきゃ。
今季はジョニーとAの二人で良い衣装を作りたいって伝えてたんだ。

やることいっぱいだなと思いつつ、俺は廊下を歩きながらこれからの予定を画策していた。





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