【白狐】7 ☆ ページ22
「手当てしないと…。」
「王女さま、危ないですから離れてください。」
近づこうとする私を無良さんが腕で制止する。
だけどこのままでは出血に加えて寒さで死んでしまう可能性の方が高いのでは…。
私は怖がらせないように、じわじわと狐さんに近寄ってみる。
もちろん搭へ連れて帰るためだ。
だけど…。
「どうやって運ぼう…。」
「私が抱きかかえます。」
私の思いをくんでくれたのか、無良さんがそっと手を伸ばす。
そんな無良さんに牙を剥き出しにして近寄るなオーラを出す狐さん。
困った…。
「何か布でくるむとか…。」
「そうですね。待機室に麻袋があったはずです。」
取って来ます。と無良さんが走って搭へと戻っていく。
雪の中、必然的に一人になってしまった私は、残された狐さんと何となくじーっと見つめ合う形になってしまった。
「怖がらないで…。」
中腰に屈んで、そっと右手を出してみる。
だけど案の定噛みつかれそうになって慌てて手を引っ込めた。
男の子なのかな。
強気な態度がどことなくゆづ王子に似てるかも。
「怪我、見せてくれるかな。」
野生の狐ならば、手懐けるのは相当難しいかもしれない。
連れ帰っても手当てさせてくれなかったらどうしよう…。
あれこれ思案していると、搭から無良さんが麻袋を持って戻ってきた。
それをばさっと広げて狐さんの側へ行く。
「上から被せますか。」
「そうね。顔を隠せば暴れないかも。」
息も切れてない無良さんとそんな会話をしていたら、狐さんが前足だけで立ち上がろうとした。
捕まえられるのを察知して、まさかこの怪我なのに逃げようとしているのだろうか。
だけど数歩あるいただけでまたうずくまってしまった。
「急ぎましょう。傷はかなり酷そうです。」
無良さんの言うことに黙ってうなずく。
こうしている間も、白い毛がどんどん赤く染まって痛々しい。
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鹿(プロフ) - yukiさん» 本当ですか?!うれしいです!!ひとつ、里帰りする話でも書きたいなーと思ったのですが、すんごい長くなりそうで今だ執筆に至っておりません(笑)ファンタジーは設定を気軽に無視できるので、書いてて楽しいです! (2022年1月1日 8時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - このシリーズが、大好きです。番外編とかあったら読みたいです。 (2021年12月30日 23時) (レス) id: e391a6e98e (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 私もリアルタイムで見てました\(^o^)/ノーミスしてさらにその上の事をしないと上位にはいけませんね。ジャンプを後半に持ってきたり、繋ぎも大事何だなーと思いました。でもやっぱり羽生さんは別格だ(笑) (2017年12月24日 21時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 女子フリー、みんなの頑張りに涙が滲みました。バンクーバー五輪の代表選考で中野友加里さんとあっこちゃんとの勝負を思い出しました。うう〜、本当に2枠しかないの?辛いですね〜。2位の2枠目は坂本さんが優位かな、とは思います。さっとん、本当におめでとう!! (2017年12月23日 23時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 羽生さん。今年の運勢、健康面あまり良くないんですよね。来年頑張って欲しいですね(・∀・)全日本はたぶん…チラ見かな(笑)女子は気になりますね!!狐さんの正体、かなり先になりそう?! (2017年12月21日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年11月18日 0時