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【花束】11 ☆ ページ22

「佳菜子〜…。」

ノブさんはさっきからゆづ王子のティッシュを何枚も奪っていたようで、すでにベンチに泣き崩れている。

かくいう私も…涙で前がよく見えない。

不意にゆづ王子が、佳菜ー!と力を込めた大きな声で名前を呼んだ。
そんな姿を見ていると、こんな所で引退を見届けていいのだろうかとふと思う。

夫なんだから、出来ることならもっと近くで送り出してあげなきゃいけないのでは?
佳菜子さまのお側で、引退を労わなきゃだめなのではと思った。

私はいてもたってもいられず、ゆづ王子に詰め寄る。

「ゆづ王子、行きましょう!」

「え。」

一瞬拍手を止めた王子さまの表情は、どこに?とでも言いたげだ。

「ここじゃなくて、ちゃんとリンクサイドで佳菜子さまをお迎えしましょう!」

「わ!」

私は返事も聞かず、ゆづ王子の手を取って強引にこの場から連れ出す。
王子さまにこんなこと、普段じゃ許されないかもしれないけど、とにかく今は佳菜子さまのお側に行かなければ、と強く思ったのだ。

転ばない程度に階段を急いで駆け降りて、バッグヤードを真っ直ぐ抜けていくと、すぐにリンクサイドにたどり着く。

するとその場に、大きな花束を持ったまっちーさんがいた。

「お待ちしておりました。どうぞこれを。」

そう言ってゆづ王子に差し出される花束は、たくさんのユリやラナンキュラスが束ねられていてとても立派だ。

「え、これ…。」

ゆづ王子が目を丸くしている。
きっとまっちーさんは、王子さまがここへ来られると予想して花束を用意してくれていたに違いない。

私は、そのずしりと重そうな物を受け取っていただくためにゆづ王子の背中を押して促す。

「王子さま、早く…。」

「うん、ありがとう…まっちー。」

最初は戸惑っていた王子さまも、この場は素直に花束を抱えてくださった。鼻をくすぐる甘い香りが辺り一面に広がる。

「結弦王子、さぁ。」

まっちーさんの合図で、氷上に一瞬にして佳菜子さまの元へと続く赤い絨毯が敷かれた。

驚いたのは私たちだけだなく、お客さんもまだリンク上におられる佳菜子さまもだ。

確かに今スケート靴を履いてないゆづ王子が靴のまま氷の上に立つと危ないのは分かるけど、まさかこんな演出が考えられていたなんて…。
さすがゆづ王子の右腕的存在であるまっちーさん。感心する。

「よし、じゃA行こう。」

「へ?」

突然手を差しのべられて、今度は私が戸惑う。

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鹿(プロフ) - カヨピさん» かなりゆっくりな展開になりそうですが、山あり谷ありで書いていきますね。知子さんのしゃべり方難しい(;・∀・) (2017年11月6日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
カヨピ(プロフ) - めっちゃ、」昌磨君と知子ちゃんいいです。ドキドキで、感動して、毎日見ちゃいます (2017年11月4日 11時) (レス) id: ecb81f9aab (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 海外のスケーターって、話し方がわからないからイメージしにくいです(*^_^*)羽生さんはとても個性のある話し方なので、いいですよね!パトリックはやっぱり羽生さんのライバルだよなぁと思います。また競いあってくれないかなー。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 碧海さん» 何度も読んでくださりありがとうございます!大人な二人はまぁ期待せずに〜(*^_^*)でもここぞというシーンにいれたいですね。今回の主人公は敬語だから、なかなか新鮮味があっていいです。試合の前後は更新迷うんですけどね。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - スケカナでパトリックがまさかの台落ち。ゆづがいなくて張り合いがなかったかな。フェイくんって、不思議な雰囲気はありますよね。私の中でスケーターでバンパイア、というと、ミハル・ブレジナがイメージなんですよ。青い瞳と八重歯のせいかな。 (2017年10月30日 23時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2017年10月14日 21時

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