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【夜桜】5 ☆ ページ5

30分くらい経っただろうか…。
まだ私達はサービスエリアの駐車場に停めた車の中にいる。

今からどんなに急いで帰ったって、もう遅刻決定だ。
そして私は頭ぐりぐりの刑に処される。

でもむしろこの状況と比べたら、そっちの方がまだましかもしれない。
怖いのはこのまま帰れないことと…。

「ねぇ、そろそろ帰らない…?」

気でも変わってくれないかな、と淡い期待を込めて尋ねる。

「明日休みだし、まだ大丈夫。」

この男。なんてしつこいんだろう。
このまま夜が明けてしまうんじゃないかと本気で不安になる。

…キスすれば帰れるの。
私が我慢すれば、ゆづのところへ行ける?

ほんの数秒のことじゃない。
とっととキスして、もう二度と会わない…それでいいんじゃないかな。

もう頭が回らなくて、正しい判断が出来なくなってるかもしれない。
だけど、この空間から早く逃げ出したい!

私は、決断を下した。

「…本当に一度だけ?」

「え!やっとその気になってくれたの。」

なってない。なってないけどこれ以上ここにいたくない。

「キスしたら帰してくれるんだよね…?」

「勿論!」

この重い空気の中で、鈴木君だけが軽く見えた。

「じゃあ、いいよ…。」

キスしても。

「Aちゃん…。」

鈴木君が助手席に座る私に近づいてくるのがわかる。
肩に手を置かれて、少しずつ身体の向きを変えさせられる。

頬にあてられた手が生暖かくて気持ち悪い。
そして、ぎゅっと目をつむる私の唇に何かが触れた…。

時間にして3秒くらいだろうか。
だけど果てしなく長い時間のように思えた数秒間。

減るもんじゃない、なんて言われたけど、確実に私の中で何かが無くなった気がした。

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鹿(プロフ) - みちさん» 一日ちょっとで書いたわりに、楽しんでもらえてよかったです!追い込まれた方が楽しく書けるのかな。^^ 次回は4でお会いしましょうね! (2016年10月23日 22時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» どうしても今日アップしたくてがんばって書きました!悩みまくるゆづが書きたくて…。惑星チョコよかったら見てみてください。すごいきれいなので!^^ (2016年10月23日 22時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - 今回の酔っぱらいゆづ、焦るゆづ、とっても楽しかった〜。 主人公ちゃんはあんなに迫られてどうだったんでしょうかね〜。続きが楽しみです。 (2016年10月23日 20時) (レス) id: e8907b1922 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 夜中の更新ありがとうございます♪いや〜、酔った勢いで…のゆづや、翌朝悩みまくるゆづ、最高!思わず抱きついちゃったのも主人公ちゃんにはお酒のせいってことになってるし。まだ彼女は気づいてないですよね。よしよし。 (2016年10月23日 9時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みちさん» そうですね!その辺が書きたくて4からは進展しそうです^^ 書けるだけ長く書きたいので、また幸せな二人になるかなあ〜  (2016年10月22日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2016年10月9日 7時

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