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いつもなら、そのままタクシーに2人で乗って、どちらかの家に帰るか、それぞれの家に帰るか、を決めるんだけれど、ちょっと歩かない?なんて言われて、代永さんと、のぶくんとはお店の前で別れた。
『どうしたの、歩こうなんて』
「たまには。いいでしょ」
『………え、手、』
「誰も俺らのことなんて、見てないよ」
外で並んで歩くことすら珍しいのに、手を繋いで歩くなんて、もっと珍しくて、驚くが彼は先に進む。どこか、目的地があるんだろうか。
少し歩いて、連れてこられた場所は夜景が見える、川沿い。時間も遅いからか、人はまばらで。
「俺、Aにもうひとつ言いたいことがあって」
『……ん?』
彼に手を引かれて向き合えば、目が合う。なんだこれ、緊張する。
「たくさん悩ませて待たせて、Aの言葉に安心しきって、俺がずっと踏み切れずにいてごめん」
『………え、』
「……俺と、結婚してください」
『……っ、』
まさかこのタイミングで言われると思っていなくて、目に涙が溜まっていくのが分かる。頭を撫でられて、親指で目の下を撫でられる。
「泣かないでよ」
『っ、だって、』
「俺と結婚してくれる?」
『はい、っ』
「はーーーっ、緊張した!帰ろっか?」
『良平さんの家?』
「そのつもりだったけど、なに、嫌だ?(笑)」
『ううん。今日は泊まる』
「Aと一緒に寝るの久しぶりだ」
『ふふ、そうだね』
「なに、笑ってんの」
『よく寝れそうだなあって?(笑)』
「一緒に住む家も探そうね」
『うんっ』
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作者名:シカク | 作成日時:2021年12月1日 20時