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クリスマスサプライズ ページ32

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クリスマス当日、イブが本番みたいなことをよく聞くけれど、肝心のイブは例年通り俺も彼女も仕事。そして、今日は俺はイベントだし、彼女もイベントらしい。

クリスマスなんて毎年仕事してるよなあ、なんて思いながら、自宅の玄関を開けて、リビングに行けば。




「え……?なんでいんの…?」

『……サプライズ的な?』



少し悪戯っぽく笑う彼女は、おたまで鍋を混ぜながら、何かを料理中らしい。てっきり、今日は来ないものだと思っていたから、びっくりした。



『イベントお疲れ様』

「Aもイベントだったんじゃないの?」

『ん?そうだよー、ごはん食べちゃった?』

「ううん、まだ。なに?シチュー?」

『そう、ちょっとだけ意識して(笑)』

「クリスマス一緒に過ごすなんて、いつぶりよ」



そう言って、彼女が混ぜている鍋を覗き込めば、もうすぐ出来上がりといったところで、いい匂いがしている。



『付き合って最初の年は、一緒にいたっけ?』

「俺、毎年仕事してる気がするんだよなあ(笑)」

『ふふ、私もだよ。あ、最初の年は私地方に行ってたかも』

「え、もしかして付き合ってから初めて?」

『あと数時間だけどね?(笑)』




軽く微笑む彼女にバケットを手渡されて、大人しく包丁を入れる。隣で器に装いながら、今日のイベント何したの、なんて会話を。



『胸キュンセリフ、みたいなのが全部クリスマス仕様で』

「そりゃそうだろ(笑)」

『聖なる日は、あなただけと過ごしたい〜みたいな、へへ』

「なんで自分で言って照れてんの(笑)それで?それを、お客さんを前にして言ったら、彼氏と過ごしたくなった?」

『にやにやしてる…!』

「はぐらかさないー」

『どうだろうね?ほら、食べよーっ』



器を持って移動しようとする彼女の肩に優しく手を置いて、振り返った瞬間にキスを。俺はクリスマスにAと会えて、嬉しいけど、なんて。





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作者名:シカク | 作成日時:2021年12月1日 20時

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