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気持ちも少し落ち着いてきた頃、良平さんの胸に頭を預けて、寄りかかるような体制になる。頭を撫でてくれる手が気持ちいい。
「ね、A」
『ん、』
「もうちょっとだけ、待っててくれない、」
『……………へ、』
「Aがずっと待ってくれてるのも、半分諦めかけてるのも、分かってて」
『…………え、』
「でも俺は、この先ずっとAと一緒にいたいと思ってる」
『…………………』
「だから、ごめん。わがままで。待ってて」
『……っ、なんでいまそんな、っ、ずるい、』
「ふふ、だって、」
『なに、』
「えぐに取られたら困るじゃん」
予想外の言葉に思わず、見上げれば照れたように笑う良平さんがいて。
『………優しい、お兄さん終わり?』
「そろそろ彼氏に戻らせてくれない?(笑)」
『………ふふ、うん、』
そう言えば、そのままぎゅっと抱きしめられて、顔をぐいっと後ろに向けられて目が合えば、唇が重なる。
『…………ん、っ、』
「そろそろ俺のことも考えてもらわないと」
『ふふ、ほんとに妬いてるの?』
「なに、嘘だと思った?」
『だって、嫉妬とか、しなそう』
「めちゃくちゃしてるよ、今。俺じゃない奴のこと思って泣いてんだから、えぐじゃなかったら怒ってる」
『へへ、えぐだからいいんだ』
「まあ弟みたいなもんだし、んっ、」
『んぅ、っ、突然、』
「早く俺でいっぱいにしてもらわないと」
『ははっ、今日はどうだろう(笑)』
「怒るよ?(笑)」
『いひゃい、』
「良平が好き?」
『へ、りょーへー、しゅき、』
「ふふ、かーわい」
そのままもう一度重ねる唇に、精一杯の愛情を込めて。
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作者名:シカク | 作成日時:2021年12月1日 20時