すれ違い ページ48
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結婚して数ヶ月、この生活にも慣れてきたとはいえ、まだまだ新婚だと思う。けれど、私たちは夫婦揃って不定期な仕事をしているわけで。
仕事を終えて家に帰ってくれば、灯りのついたリビングには誰もいなくて、寝室を除けば良平さんが寝ている。スマホには、「明日早いから先に寝るね」なんてメッセージが送られてきていた。
『はあーーーーーーー』
ソファで項垂れながら、思わずため息が出る。最近はこんなことばっかりだ。今日みたいなこともあれば、その逆もよくある。一緒に住んでいるはずなのに、どこか遠く感じて。
こんな気持ち良くないな、なんて思いながらソファに横たわって目を閉じた。
−−− 名前を呼ばれている感覚がして、目をゆっくりと開ければ、こちらを覗いている良平さんと目があった。………あれ、昨日私ソファでそのまま。
「ここで寝てたら風邪引くよ」
『ん、うん、、ごめん、、』
寝室への移動を促されていることは、わかっているんだけれど、頭も働いていなければ、体も動く気力が起きない。
「A、動きなって」
『……ん、うん、』
「メイクもそのまま、服も着替えてないし、」
『んーっ、寝落ち、しちゃったの』
「はあ、A」
『んーんっ、もういいから、あとでちゃんと起きるから、』
「………なに？その言い方、早く仕事行ってほしい？」
『ん、そんなわけ、じゃ、』
「ごめん、俺ちょっと頭痛くて、思ってもないこと言っちゃいそうだわ、出るね」
『え、あ、』
行っちゃった………、最後の良平さんの顔怖かったな、すっかり頭が冴えてしまった体をソファから起こして洗面台に向かう。
『うわ、ひどい顔』
こんなメイク落ちかけの、ぼろぼろの姿を見たら良平さんだって、幻滅するよね、はー、怒ってるよなあ、
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作者名：シカク | 作成日時：2021年12月1日 20時
