ミルクとスフレと【石川界人】

帰り道の探り合い ページ16

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今日は2人ともこの仕事で終わりだったから、彼女を乗せて、車で軽くドライブをしながら、お互いの自宅の方へ向かっている。

窓の外をぼーっと眺めている彼女を横目で見ながら、昼間のスタッフさんと話している時のAを思い出す。同級生にしては親しげだな、なんて気持ちと、きっとこのスタッフさんは、彼女のこと好きなんだろうな、なんて思ってしまったのは俺も同じだからかな。



「………ねえ、A」

『んー？』

「今日会った、スタッフさんさ、」

『うん、』

「何か、特別な関係…？」

『え、あ、えっと、あのね、』

「うん」

『そのー、元彼、です』

「え」



想像を軽く答えが返ってきて戸惑うと同時に、言葉じゃ表せない、もやもやした感情が心の中に溢れ出して、投げ出されていた右手を握って指を絡める。



『……でも、それだけよ？ほんとに久しぶりに会ったの』

「ん、分かってるよ」

『界人？』

「今日、このまま俺んちでもいい？」

『へ。あ、うん』

「A」

『ん？』

「好きだよ」

『へ、？』

「Aは、」

『好き、だよ？』

「誰が？」

『界人、が？』

「俺もAが好き」



家に着いたら向き合って、俺が満足するまで、愛の言葉を彼女に囁いて、俺にも同じように言って安心させてほしいなんて、いつからこんなに女々しくなったんだろう。




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