ミルクとスフレと【石川界人】

見つけた方法 ページ11

.



無機質なアラームの音で目が覚める。目を開けてぐっと伸びをすれば、だんだんと意識が覚醒してくる。ここはベットで、あれ、昨日確か界人がいて、運んでくれて。それで、泣いて、どうなったんだっけ。

リビングに行けば、着替えて準備をしている彼がいた。



「あ、A起きた？おはよ」

『おはよ。界人、昨日はご迷惑おかけしました…』

「ふっ、なんで。眠れたー？」

『うん。なんか今日はよく眠れた気がしてる』

「ごはん、食べなね」



冷蔵庫を指差す彼につられて、冷蔵庫からプリンとオレンジジュースを取り出す。家を出なきゃいけない時間まで、あと1時間と30分。用意したものを持って、アイロンで癖を直している界人の隣に座って。



『すぐ出ちゃう？』

「あと30分くらい」

『このまま行くの？』

「そう。Aの家に置いてた着替えあったし」

『最近ずっとさ、』

「うーん？」

『どこかでスイッチ切らなきゃとかさ、上手く息抜きしなきゃとか思ってるんだけど、できなくて。このままじゃ、だめなことも分かってるんだけどできなくて、疲れも取れなくて』

「うん」

『でも昨日界人が来てくれて、なんか安心して泣いちゃって。』

「うん？」

『昨日一緒に寝てくれて、なんか息抜きできた気がする』

「へ、」

『ありがとう。来てくれて』

「じゃあ、今度からはちゃんと呼んでよ、俺のこと」

『うん、』

「言ったね？聞いたからね、ちゃんと頼ること」

『わかった、』

「次突然来て、同じ状態だったら怒るからね」

『はあい、(笑)』






.

急な呼び出し→←理由なんてない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す